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不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(後編)

不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(後編)

不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(後編)

前編では、不動産投資で重要なバランスシートの基本的な見方、不動産投資で注意するポイントについてご説明させていただきました。

不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します! (前編)

収益物件を購入しただけでは「資産」は増えるものの、本当に大事な「純資産」が増えることはありません。
では「純資産」を拡大するためには、どうすればよいのか。
本稿は不動産投資におけるバランスシート解説の後編として、引き続き不動産投資の初心者にも分かりやすくご説明させていただきます。

■不動産投資における「純資産」の増減

はじめにお断りしておきますが、バランスシートの構造・変動を正確にご説明するには、読み手側に簿記・会計の前提知識が求められますし、ある程度専門的な解説となることは避けられません。
しかし、本稿は「不動産投資初心者の方にも分かりやすい」を念頭に、全ての不動産投資家が当然に知っておくべき基本的な仕組みをご理解いただくことを主旨としています。
簿記・会計に詳しい方が読めば説明が足りないと感じる箇所はあるかと思いますが、その点は予めご了承ください。

まずは、前編でも登場したバランスシートを再掲します。
このバランスシートは、自己資金1,000万円を持っている方が、頭金500万円で、2,000万円(土地1,000万円、建物1,000万円)の収益物件を購入した直後の状態です。

<バランスシート事例>

前編で解説したとおり、不動産投資で本当に大事なポイントは、「資産」ではなく「純資産」であり、「純資産=資産-負債」の計算式で成り立っています。

ということは、「純資産」を増やすためには、

・「資産」を増やす

・「負債」を減らす

のいずれか、または両方が実行できればよいということになります。

■不動産投資における「資産」の増減

では、「純資産」を増やすことを念頭に、まずは「資産」を増やすことからご説明しましょう。
不動産投資における「資産」について誤解を恐れずに言えば、「現金預金」「固定資産」に分かれます。(実際には、もっと細かい分類に分かれますが全ての投資家が知っておくべき部分にフォーカスしています)
このうち、「現金預金」とは、いわば不動産投資における自己資金です。
自己資金を増やすには、毎年のキャッシュフローを黒字化すればよいわけですから、これはイメージしやすいと思いますし、そもそもキャッシュフローの黒字化は不動産投資の一丁目一番地ですから、バランスシートを特別意識せずとも結果的に「資産」は増えていくケースも多いでしょう。
注意すべきは、「固定資産」です。
不動産投資で購入する収益物件は、通常は「土地」「建物」をセットで購入しているのですが、このうち「建物」は減価償却費を毎年計上することで、上手に活用すれば節税に繋がることをご存じの方は多いことでしょう。
しかし、これは裏を返すと、帳簿上の価値である「簿価」が減少していくということでもあります。
たとえば、先ほどのバランスシート上の建物の償却期間が5年とすれば、毎年200万円ずつ「建物」の簿価は減少し、「資産」も減少していくということです。
もちろん、それ以上のペースで「現金預金」が増えたり、後述する「負債」が減ったりすればよいのでしょうが、仮にその他の増減幅が小さく、固定資産の償却だけが大きいケースとすれば、知らず知らずのうちにバランスシートが悪化している、ということになりかねないのです。

■不動産投資における「負債」の増減

次は、「負債」を見ていきましょう。
不動産投資における「負債」の大半は、収益物件購入時における金融機関からの借入金元本です。
毎年の元本返済額の分だけ「負債」は減少し、その他が変わらなければバランスシートも良化していくことになります。
よって、先ほどご説明した「現金預金」「固定資産」による「資産」の増減と、借入元本返済による「負債」の減少の結果が、「純資産」の増減に影響を与えるということになります。
借入元本の返済ペースを決めるのは、金融機関から借り入れする際の条件です。
「借入金額」は言わずもがな、「借入期間」「借入金利」、そして「返済方式(元利均等 or元金均等)」などによって、毎年の借入元本の返済ペースは大きく変動します。
借り入れ条件を検討するにあたっては、バランスシートへの影響も含めて考えることが大事というわけですね。

■バランスシートと市場価値の歪み

最後にもう1点、不動産投資家の方には是非とも知っていただきたいことをお話しします。
それは、バランスシートと市場価値に生じる“歪み”です。
前述したように、固定資産の簿価は減価償却した分ずつ減っていきますが、実際の収益物件の“市場価値(時価)“が同じように減るとは限りません。
特に、昨今のように収益不動産の市況が活発であれば、経年で市場価値(ここでは売却価格と読み替えてもOKです)が変わらないどころか、上昇するケースさえ珍しくありません。
そうなると、不動産投資家としての実際の資産状況とバランスシート上の資産状況には大きな差、即ち“歪み”が生じることになるのです。
この歪みを解消する方法の筆頭は「売却」です。
売却をすることで「固定資産」が時価相当額で現金化できるわけですから、バランスシートを良化する効果を生むことになります。
売却時にはキャッシュフローの増減だけでなく、こうした歪みの解消効果も狙うのもよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。
バランスシートは毎月のキャッシュフローに直接的に影響するわけではありませんが、金融機関など第三者に財務の健全性を説明するうえで非常に重要なツールです。
是非、バランスシートにも意識を向けて、投資活動をより盤石なものにしていきましょう!

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