資産運用
【INDEX】 ■住宅ローン控除とは? ■控除を受けるための基本要件 ■新築住宅における控除の条件と控除額 ■中古住宅における控除の条件 ■対象外となる住宅の ■控除を受けるための手続きと注意点 ■制度の今後と改正の背景 ■まとめ |
マイホームの購入や建築を考えている人にとって、見逃せないのが「住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)」です。住宅ローン控除は、一定の要件を満たした住宅を取得し、ローンを組んで住み始めた人に対して、所得税や住民税の一部を控除する制度です。
制度をうまく活用すれば、数年にわたり大きな節税効果が得られます。ただし、年々制度内容が改正されており、2024年以降は「省エネ基準」への適合が条件となるなど、要件がより厳格になっています。
この記事では、住宅ローン控除の基本的な仕組みから、適用される物件・されない物件の違い、実際に制度を使う際の注意点まで、わかりやすく解説します。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得した人が、年末時点のローン残高に応じた一定の金額を、所得税や住民税から控除できる制度です。
控除額は、住宅ローンの年末残高の0.7%。これが原則ですが、住宅の種類や購入時期、所得などによって細かく条件が分かれています。控除期間は最大13年(中古住宅などは10年)と長く、条件を満たしていれば数十万円〜数百万円の節税効果が期待できます。
控除を受けるための基本要件
以下の条件をすべて満たす必要があります。
・住宅ローンの返済期間が10年以上であること
・分自身が居住する住宅であること(投資用物件は不可)
・宅取得後6か月以内に居住し、引き続き居住していること
・年間所得が2,000万円以下であること
・住宅の床面積が原則50㎡以上(一部40㎡以上でも可)
また、対象となる住宅の「性能」や「購入時期」によって、控除期間や控除限度額が異なります。
2024年以降、住宅ローン控除を受けるには、新築住宅が一定の省エネ基準に適合していることが原則となります。住宅の性能に応じて、控除対象となる借入限度額と控除期間が決まります。
住宅の種類 |
借入限度(一般世帯) |
控除期間 |
認定長期優良住宅・低炭素住宅 |
4500万円 |
13年 |
ZEH水準省エネ住宅 |
3500万円 |
13年 |
省エネ基準適合住宅 |
3000万円 |
13年 |
その他の住宅 |
対象外 |
- |
なお、子育て世帯や若者夫婦世帯においては、借入限度額が最大5,000万円まで引き上げられるなどの優遇措置があります。
つまり、2024年以降に建てられる新築住宅では、「省エネ住宅であること」が住宅ローン控除の適用条件になっており、省エネ基準を満たしていない住宅では控除を受けることができません。
中古住宅については、新築よりも条件がやや緩和されており、省エネ基準の適合が必須とはされていません。ただし、以下の要件を満たす必要があります。
・築年数要件:1982年(昭和57年)以降に建てられた住宅
※それ以前の住宅でも「耐震基準適合証明書」や「住宅性能評価書」があれば対象になる
・床面積:50㎡以上(所得1,000万円以下であれば40㎡以上でも可)
〈借入限度額〉
・省エネ基準適合住宅:3,000万円
・一般の中古住宅:2,000万円
・控除期間:原則10年間
中古住宅は購入価格が安く、ローン金額も小さいケースが多いため、控除額も新築に比べて低めになる傾向がありますが、それでも10年間で数十万円の還付を受けられる可能性があります。
住宅ローン控除には細かな適用要件があるため、以下のような物件は対象外となります。
・省エネ基準に適合していない新築住宅(2024年以降)
→ 建築確認日が2024年1月1日以降で、かつ省エネ基準に適合していない住宅は対象外。
・床面積が要件を満たしていない住宅
→ 50㎡未満(一定条件を満たせば40㎡以上でも可)の住宅は対象外。
・自分が住まない住宅
→ 賃貸やセカンドハウス、親の名義で建てた住宅は対象外。
・親族などからの購入や贈与で取得した物件
→ 市場取引でない場合、税務上の優遇が認められない。
・返済期間が10年未満の住宅ローン
→ 9年以下の短期ローンやボーナス一括払いなどは対象外。
住宅ローン控除を受けるには、以下の流れで手続きが必要です。
1 初年度は確定申告が必要
住宅ローン控除は、最初の年のみ自分で確定申告を行う必要があります。給与所得者であっても例外ではありません。
2 年目以降は年末調整でOK
会社員であれば、2年目以降は勤務先の年末調整で控除が継続されます。
3 必要書類の準備
登記事項証明書、住宅ローンの年末残高証明書、性能証明書(省エネ適合住宅の場合)、売買契約書の写しなどが必要になります。
4 計算上の注意点
控除額は、あくまで「年末時点のローン残高×0.7%」なので、元金が減るほど控除額も小さくなっていきます。また、控除できるのは「所得税+住民税の一部」までなので、課税所得が少ない人は全額控除されない場合もあります。
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近年の住宅ローン控除制度は、「エネルギー効率の高い住宅への誘導」を目的として見直されています。かつては控除率が1.0%でしたが、低金利下では「逆ザヤ(利息より控除が多い)」となる問題が指摘され、2022年からは0.7%に引き下げられました。
また、2024年以降は省エネ性能のある住宅しか新築では原則対象外となっており、今後さらに環境性能重視の流れが強まると見られています。
住宅ローン控除は、適用されれば非常に大きな節税効果がある制度です。しかし、その適用には細かい条件が多く、「思っていたよりも控除が受けられなかった」というケースも珍しくありません。
特に2024年以降は、新築住宅において省エネ基準適合が原則条件となっており、中古住宅でも築年数や性能証明が求められます。購入時や設計時に「この物件は住宅ローン控除が使えるのか?」を必ず確認し、必要書類を揃えておきましょう。
長期にわたる返済と並行して、数年にわたる控除を最大限活用できれば、家計にとって大きなメリットになります。住宅ローン控除を正しく理解し、マイホーム取得の力強い味方にしましょう。
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