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不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(前編)

不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(前編)

不動産投資で地味だけど大事なバランスシートを解説します!(前編)

不動産投資家さんからご相談をお受けしていると、利回りやキャッシュフロー計算にはすごく熱心な一方で、バランスシートについては関心の薄い方をよくお見掛けします。
たしかに投資の利益に分かりやすく直結する利回りやキャッシュフロー計算と異なり、バランスシートの影響は一見すると分かりにくく、投資家さんの優先度が下がってしまうのは仕方のない部分もあります。
しかし、将来的に不動産投資(不動産賃貸業)を専業でやっていく、あるいはプロパーローンなどより有利な条件で金融機関と取引をするといったことを見据えると、バランスシートの改善は必須ともいえる、とても重要な要素です。
本稿では、不動産投資におけるバランスシートの重要性について、不動産投資の初心者にも分かりやすく解説していきます。

■そもそもバランスシートとはなにか!?

決算書や確定申告をする際、様々な財務諸表の提出が義務付けられていますが、そのなかでも、「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」の重要な書類を合わせて財務三表と呼びます。
財務三表を合わせて読み解くことで、その企業・その事業(不動産投資でいえば、個人または法人で行う不動産賃貸業)が順調に利益を出せているか、経営基盤の健全性が保たれているのかといったことがある程度見えるとされています。
本稿のテーマであるバランスシートとは、この財務三表の一つである「貸借対照表(B/S)」を指しています。

<財務三表の役割>


冒頭でも触れましたが、このうち、「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」については、まさに不動産投資(不動産賃貸業)の利益や資金繰りに直結する内容のため、多くの不動産投資家さんはしっかり意識されています。
しかし、保有資産の内訳を示す「貸借対照表(B/S)」は、短期的な利益や資金繰りに影響しにくいため、ここに気が回っていない投資家さんは少なくないと感じています。
「貸借対照表(B/S)」では、保有する「資産」「負債」「純資産」の内訳から、その企業(または事業)の経営の財政状態を知ることができます。
以下は、「貸借対照表(B/S)」の構成イメージです。

<貸借対照表(B/S)の構成>
 
簿記のコラムではないため専門的な説明は避けますが、右側「負債・純資産」にはどのようにお金を集めてきたのかを表し、左側「資産」にはその集めてきたお金を何に投資しているかを表す構成となっており、左側「資産」の合計と、右側「負債・純資産」の合計は必ず一致することになります。

■不動産投資におけるバランスシートの基本

不動産投資(不動産賃貸業)のバランスシートを見るうえでは、特に次のような特徴を押さえておきましょう。

①資産の部
不動産投資では、主に現金預金などの流動資産と収益物件(土地・建物)などの固定資産から構成されます。
特に、固定資産のうち、収益物件の建物は減価償却しますので簿価が経年で減少していくことには要注意です。

②負債の部
不動産投資では、収益物件を購入するための借入残高たる固定負債が主要な負債となります。
そのため、負債の減少ペースは借入金の元本返済と実質的に同義となるわけですが、不動産投資では一般に大きな借入を前提とするため、金利やキャッシュフローだけでなく、バランスシート上の負債の減少ペースにも注意して返済計画を組み立てるべきです。

③純資産の部
バランスシートの左右の合計は一致するため、「資産=負債+純資産」が成り立ちます。
言い換えれば、「純資産=資産-負債」ということであり、不動産投資の規模拡大は、資産ではなく純資産で評価すべきということになります。
では、自己資金1,000万円を持っている方が不動産投資を検討しているとしましょう。
検討中(購入前)のバランスシートは以下のようになります。

<検討中(購入前)のバランスシート>
 
そして、自己資金のうち500万円を頭金に使用し、2,000万円(土地1,000万円、建物1,000万円)の収益物件を購入すると、バランスシートは以下のようになります。

<購入後のバランスシート>
 
購入前後のバランスシートを比較すると、収益物件の購入によって「資産」は増えたものの、「純資産」は全く増えていないことが分かりますね。(説明の都合上、細かい部分はご都合主義的な表になっている点はご容赦ください)
収益物件を購入しただけでは「純資産」が増えることはなく、「純資産」が拡大できるかは、今後の賃貸経営の成績次第ということになります。
本稿では、前編としてバランスシートの基本的な見方、不動産投資で注意するポイントについて簡単にご説明させていただきました。
後編では、前述した賃貸経営の成績によって不動産投資のバランスシートのどこが・どのように変動するのか、さらに具体的な解説をさせていただく予定ですので、どうぞお楽しみに!

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