資産運用
不動産投資に興味を持って物件を探していると、「このアパート(マンション)は長期入居の方が多く住んでいるので収益が安定していますよ」といったセールストークを耳にすることがあるかもしれません。
「長期入居者=安定した家賃収入がある=安心」というイメージがあるため、特に不動産投資の初心者の方には、魅力的に映るのも無理はありません。
しかし、本当にその考え方は正しいのでしょうか?
実は、「長期入居者の多い収益物件」には、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。
本稿では、特に不動産投資初心者の方が、「長期入居者の多い収益物件」を提案されたときに、どこをチェックすべきか、そして本当に買うべきかどうかを判断するためのポイントについて、分かりやすくご説明していきます。
「長期入居者の多い収益物件」を購入するメリットは、購入後すぐに退去される可能性が低く、ある程度安定したキャッシュフローが期待できる点です。
長期間同じ入居者が住み続けているということは、その人にとってその部屋が満足できる環境であり、引っ越しの必要性を感じていないというサインでもあります。
特に不動産投資初心者にとって、購入直後に空室リスクに直面する不安は大きいもの。
その点、長期入居者が多く住む物件なら、収入が比較的安定して見込めるため、毎月の返済計画や資金繰りの見通しが立てやすくなります。
また、4月・9月に入退去が集中する繁忙期の影響を受けにくい点も、長期入居者が中心の物件ならではの強みといえるでしょう。
もちろん、あくまでも「収入が比較的安定して見込める」ということであり、必ずしも空室が発生しないわけではありませんが、それでもこうした特徴は初心者の方にとっての安心材料となることは疑いがないでしょう。
一方で、「長期入居者がいる=安心」と単純に考えてしまうのは危険です。
たしかに、長く住み続けてくれる入居者がいることは一見プラスに見えますが、その裏には見落としがちなリスクが潜んでいます。
まず、長期間同じ入居者が住んでいる部屋は、室内設備の劣化がかなり進んでいることが多いもの。
壁紙の汚れや床材の傷み、設備の古さなどが目に見えて分かる場合も少なくありません。
また、日常生活による蓄積ダメージや、配管・給湯器といったインフラ部分の老朽化は、外からは判断しにくい厄介な問題です。
いざ退去となった際に、キッチンや浴室などの水回り設備の交換、壁紙や床材の全面張り替え、場合によっては下地の補修まで必要になり、大規模な修繕費用がかかる可能性もあります。
原状回復に数十万円単位、ときには百万円単位の出費が必要になれば、購入後の資金繰りに大きな影響を与えかねません。
また、別の観点から注意が必要なのが、保証会社の利用状況です。
以前は保証会社を付けることが一般的でなかったため、長期入居者には保証会社が付いていないケースが多く見られます。
そのため、万が一家賃滞納が発生したり、退去時に高額な原状回復費用や残置物撤去費用が発生して支払いが受けられなかったりした場合、そのリスクはオーナー自身が負うことになりかねません。
さらに、似たようなリスクとして、連帯保証人・緊急連絡先の問題もあります。
長年のうちに保証人と連絡が取れなくなったり、連絡先が変更されていたり、最悪の場合には保証人がすでに亡くなっているケースもあります。
いざ問題が発生した際に、請求先や緊急連絡先がないとなれば、前述した保証会社の問題と合わせて、その被害は甚大なものとなる可能性もあるでしょう。
このように、「長期入居=安心」というイメージに流されず、物件の内部状況や契約関係を丁寧に確認することが、後々のトラブルを防ぐカギになります。
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これらのリスクを避けるためには、購入前の情報収集が何より重要です。
特に、以下のポイントは必ず押さえておきましょう。
・入居者の属性(年齢・収入・職業など)
・賃貸借契約の内容(契約者名義・契約時期)
・保証会社の利用状況
・連帯保証人、緊急連絡先の有無
・これら情報の最新性
特に、アパートやマンション等の一棟物件では、こうしたリスクが一部屋だけでなく複数の部屋で重なって表面化する可能性もあり、資金繰りが急激に悪化し、最悪はせっかく購入した物件を手放すことにもなりかねません。
こうした情報を集め、慎重な目線でチェックを行うことが極めて重要といえます。
とはいえ、収益物件の売買現場では、売主や仲介業者がこうした情報を持っていなかったり、情報を出し渋ったりすることも珍しくない現実もあります。
そうした場合、全てのリスクを織り込んだ条件(購入金額)を検討するか、ときには撤退をすることも大事です。
不動産投資、特に「長期入居者の多い収益物件」では、入居者も、保証人も、室内も長期間のうちに状況が変わったり、劣化したりするのは避けられません。
セールストークを鵜呑みにせず、くれぐれも冷静に判断できるようにしましょう。
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