節税

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本当に利用しやすくなった!相続時精算課税制度を説明します!

本当に利用しやすくなった!相続時精算課税制度を説明します!

本当に利用しやすくなった!相続時精算課税制度を説明します!

2024年度改正によって「相続時精算課税制度」が、大幅に使いやすくなったことをご存じでしょうか?

相続時精算課税制度とは、贈与税の課税制度の一つで、一定要件を満たす贈与について、最大2,500万円までは贈与税を非課税とする代わり、相続発生時に相続財産にその分を加算して相続税を計算するという制度です。

かねてより、しっかり計算して利用すれば節税に繋がる可能性のある制度ではあったものの、贈与税・相続税の2つに跨った税金計算が必要となるうえ、小規模宅地等の特例が使えなくなる点や少額の贈与でも申告が必要となる点、そして一度相続時精算課税を選択すると取り消せない(通常の「暦年課税制度」に戻れない)といった、それなりに高いハードルがありました。

詳しくは後述しますが、今回の改正によって、こうしたハードルの一部が緩和され、節税効果の面だけでなく、申告手続きの面からも改善が図られ、より利用しやすい制度に再整理されたというわけです。

本稿では、贈与税の基本中の基本からおさらいしたうえで、今回の改正内容とその期待効果について、分かりやすくご説明していきます。

 

■贈与税の2つの課税方法

まずは、贈与税の基本からおさらいしておきましょう。

原則として、個人から、贈与によって年間110万円以上の財産を取得した際、贈与を受けた者には、その課税価格に対して10%~最大55%の贈与税が課税されます。

この仕組みを「暦年課税制度」と呼び、これが日本の贈与税の基本です。

そして、贈与税には「相続時精算課税制度」と呼ばれる、もう一つの課税制度があり、一定要件に該当する場合、暦年課税制度に代えて選択することができます。

2つの課税方法の比較は以下のとおりです。

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<贈与税の課税方法>

①暦年課税制度

1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対し、10%~最大55%の累進税率にて課税。(1年間に受けた贈与の合計額が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要)

 

②相続時精算課税制度

原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対する、一定要件を満たす贈与を受けた際に選択可能。

 

贈与者ごとに特別控除額2,500万円を差し引いた残りの額に対し、一律20%で課税。

但し、特別控除により非課税となった最大2,500万円は、贈与者が亡くなった時に当該相続財産に加算(贈与時点の財産価値)して相続税を計算する。

また、相続時精算課税制度を選択した場合、小規模宅地の特例が使えない、暦年課税制度には戻れない等の制約あり。

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どちらの課税制度を選択すべきかについては個別に慎重な検討が必要ですが、一般論として相続時精算課税制度が有利となりやすいのは、

・子供や孫に早期に纏まった金額を贈与したい場合

・将来的に価値が上昇すると見込まれる財産や一時的に価値が低下している財産を贈与したい場合

などのケースが考えられます。

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■相続時精算課税制度の改正内容

今回改正されたのは、この2つの贈与税の課税制度のうち、相続時精算課税制度です。

改正内容は、相続時精算課税制度においても、暦年課税制度と同じように基礎控除額110万円を新設するといったもの。

改正後は、年間110万円までの贈与であれば、贈与税がかからず(申告も不要)、相続発生時の相続税計算時の加算にも影響がなくなりました。

 

改正後の具体的な計算イメージ例は、以下のとおりです。

【出典】国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

 

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

 

なお、「暦年課税制度には戻れない」「小規模宅地等の特例が使えなくなる」といった点については、今回の改正では変更されていませんのでご注意ください。

 

 

■相続時精算課税制度の選択前には専門家への相談が無難!

今回の改正により、基礎控除額110万円の範囲内で毎年贈与を続ける場合、相続時精算課税制度を選択した方が、節税効果が発揮される可能性が高まりました。

また、暦年課税制度の持ち戻し期間(※)が3年→7年に延長されたこともあり、その点においても相続時精算課税制度が優位となったといえるでしょう。

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(※)暦年課税制度の持ち戻し期間とは、

相続税の節税を目的とした死亡前の駆け込み贈与を防止するため、相続発生時、過去3年分の贈与財産(基礎控除額110万円以下の贈与財産を含む)については、相続財産に足し戻して相続税を計算しなければいけないルール。

2024年度以降は、3年→7年に延長となった。

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しかし、前述したように、「小規模宅地の特例が使えなくなる」デメリットは継続していますし、将来的に基礎控除額を超える贈与を検討する可能性のある方もいらっしゃることでしょう。

 

今回の改正によって相続時精算課税制度が大幅に使いやすくなったことは間違いありませんが、ひとたび相続時精算課税制度を選択すると、もう暦年課税制度には戻れませんので、くれぐれも慎重に検討する必要があります。

 

相続時精算課税制度を選択する前には、極力専門家への相談を念頭に置いた方が無難でしょう。

<参考>国税庁ホームページ

・タックスアンサー 『No.4103 相続時精算課税の選択』

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

・同、『No.4402 贈与税がかかる場合』

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm

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