資産運用

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誤解?本当?「お金持ちはケチ」と言われるのはなぜ!? 

誤解?本当?「お金持ちはケチ」と言われるのはなぜ!? 

誤解?本当?「お金持ちはケチ」と言われるのはなぜ!? 

著者が会社員だった頃、「あの上司はケチだ。飲みに行っても奢ってくれない」などといった愚痴を聞くことがありました。
そもそも上司が部下にお酒を奢るべきかという議論はさておき、「上司=高給取り≒お金持ち」といったイメージからくる話であることは確かでしょう。
また、「お金持ちはケチである」という格言もよく聞きますよね。
お金持ちなのに、「ノンブランドの服ばかり着ている」「実用性重視の車に乗っている」、そしてやっぱり「意外と奢ってくれない」といった声は、古今東西よく聞く話ではあります。
著者自身はお金持ちではありませんが、FPとしての仕事柄、お金持ちと接する機会は多く、そうした方々から価値観や考え方を教えてもらうこともあります。
本稿では、「なぜ、上司は奢ってくれないのか?」「なぜ、お金持ちはケチに見えてしまうのか?」について、FPの目線から解説したいと思います。

■会社の上司がお金持ちとは限らない事情とは!?

まず、大前提としてのお断りですが、上司やお金持ちのなかには、ケチのイメージとは程遠い方もたくさんいらっしゃいます。(部下に気持ちよく奢る上司もたくさんいらっしゃいますし、豪邸に住んで高級外車を乗り回す方や多額の寄付を毎年続ける方もたくさんいらっしゃいますしね)
本稿でテーマとするのは、「お金持ち(「お金持ちに見える」を含む)なのにケチに思われてしまう方」に関する内容となりますので、その点はご承知おきください。
まず、意外と多いのは、「実はそれほどお金持ちではない」というケースです。これは「奢ってくれない上司」に多いパターンですが、日本の税金や社会保険料は、収入に応じて負担率が上昇する仕組みのため、会社からの給与支給額自体は多くても、その分引かれる金額も大きく、実際に手元に残る金額は部下が思うほど多くないことも往々にして起きてしまうのです。
特に、所得税率は超過累進課税制度を取っており、年間の収入に応じて最大45%まで容赦なく税率が跳ね上がり、高給取りほど税負担が極端に多くなる仕組みとなっています。
【出典】国税庁ホームページ

所得税の節税対策としては、高給取り一人よりも、夫婦二人で共働きしての所得分散が王道ですが、上司の世代ではまだまだ夫婦共働きへの抵抗が強いケースも多く、「高給取り≒高税額負担≒手取りはあまり残らない」という図式が出来上がりやすいのです。
また、上司世代のなかには、育児や受験などの家庭事情を抱えるケースも多いものの、サラリーマンの高給取りは児童手当や高校無償化といった各種社会政策の恩恵を受けにくい特徴があります。
税金・社会保険料の負担が大きいのに、自分や家族へのリターンが少ないというダブルパンチな状況です。
さらに、現在の上司世代(50~60歳前後)のなかには、バブル期に不動産を購入して失敗した方も少なくありません。
不動産の資産価値に不釣り合いな高額な住宅ローンが続いているケースもあり、昨今の超低金利での借入や逆ザヤも容易な住宅ローン減税を上手に活用した若い世代よりも資産状況が悪いケースも、少なからず起きてしまいます。
こうやって考えていくと、「上司=高給取り≒お金持ち」と考えるのはちょっと強引ですし、「上司=部下に奢るべし」という考え方はちょっと可哀そうかもしれません・・・。

■お金持ちの意識は「消費」だけでなく「投資」にも向いている!

その一方、本当にお金持ちなのにケチに見えるケースもありますよね。
しかし、大半のケースでは「ケチに見える」だけであって(笑)、実際には「ケチ」とは違うというのが著者の実感です。
お金持ちの多くは、(程度の差こそあれ)「消費」と「投資」を日ごろから天秤にかけ、「投資」を高いレベルで成功させています。

たとえば、資産2億円のお金持ちと資産500万円の一般の方が、車の購入を検討しているとしましょう。
一般の方が250万円の車を購入するとして、(強引な考え方ですが)保有資産比で単純計算すれば、お金持ちは1億円の車を買うことになります。
1億円が目安となってしまうと、せめて1,000万円とか2,000万円とかの高級車を選ぶであろうと勝手に期待してしまい、実際に選ぶのが一般の方と同じ250万円の車であれば「お金持ちなのにケチな人だ」と見えてしまうわけですね。(当人からすれば、大きなお世話でしょうが・・・)

ここでも、お金持ちは、「消費」と「投資」を天秤にかけているのです。

資産2億円の方にとって1,000万円は決して出せない金額ではないのでしょうが、その1,000万円をたとえば年利10%の複利(複利周期1年)で投資運用すれば、10年後には約2,600万円、20年後にはなんと約6,700万円にもなります。
目先の1,000万円ではなく、将来の期待価値で考えると、必要以上に高額な消費をする理由はなく、実用性重視の一般車を選ぶことは決して不自然ではないわけです。
ハイブランドの衣服を揃えたり、だれかれ構わず奢ったりしないことも同じ理由で、「投資」に回すお金を意識して「消費」の選択肢を検討する傾向は、お金持ちの特徴の一つだと感じています。

もっとも、お金持ちは「拘るポイント」にはお金を惜しまずに使う一面もあると感じています。
たとえば、ゴルフ好きな方は高額なゴルフ場の会員権をたくさん保有されていますし、車好きの方であれば趣味として高級車をコレクションされていたりもします。
人脈の開拓や自己啓発・研鑽にお金を惜しまない方も多く、「ケチ」というよりも、「お金を使う優先順位や判断軸が明確」と表現した方がシックリきます。
「お金持ちはケチ」と感じるシーンがあれば、お金持ちの思考を探ってみると、新たな価値観の発見があるかもしれませんね。

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