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現役大家が語る! 区分ワンルーム投資で地方の遠隔運営が難しい理由とは!?

現役大家が語る! 区分ワンルーム投資で地方の遠隔運営が難しい理由とは!?

現役大家が語る! 区分ワンルーム投資で地方の遠隔運営が難しい理由とは!?

不動産投資のご相談をお受けしていると、「比較的、利回りの高い地方で区分ワンルーム投資を考えているのですが、どう思われますか?」といったご質問をいただくことがあります。
たしかに、東京近郊の不動産価格は高騰しており、区分ワンルームを購入したとしても、毎月の家賃収入だけで大きな利益を出すのは難しい市況です。(それでも、やり方によっては儲からないというわけでもないとは思うのですが)
そんななか、比較的利回りの良い物件も見つけやすい、地方や東京から少し外れた郊外に目が移るのは十分に理解できる話ではあります。
しかし、そのエリアが出身地である方とか、あるいは既に十分な不動産投資の知識・経験を持つ方であればまだしも、「これから不動産投資を始める方」「まだ不動産投資を始めたばかりの方」にとって、いきなり縁もゆかりもない地方や郊外で区分ワンルーム投資をするのは、おススメできません。
本稿では、なぜおススメできないのかについて、現役大家の実務目線から解説していきたいと思います。

■東京とは異なるエリアの賃貸需要が分からない!

区分ワンルーム投資に限らず、地方や郊外の収益物件を検討するうえで、最初に直面するハードルは、「エリアの賃貸事情が分からない」という点です。
東京やその近郊(あるいは大阪など大都市圏)であれば、収益物件の取引事例はいくらでもありますので、販売または仲介する不動産業者からおおよその賃貸事情を確認したうえで購入判断をすることができます。
また、利害関係のある不動産業者以外でも、東京近郊で実績のある大家さんはたくさんいますので、そうした方から直接教えを受けたり、インターネットを通じて様々な“リアルな情報“を得ることは比較的容易に行うことができるでしょう。
しかし、これが「とある地方都市のとある町」となれば、そうはいきません。
販売・仲介する不動産業者にとっても頻繁にそのエリアで取引を繰り返しているとは限りませんし、ピンポイントでそのエリアに実績のある大家さんを探すことも容易ではないからです。

では、「東京と地方・郊外では、そんなに賃貸需要が違うの?」と思われる方もいるかもしれませんが、私の経験上、大きく違うことも珍しくありません。
たとえば、東京では最寄り駅や大型商業施設からの距離が重視されますが、車社会のエリアでは、むしろ建物内に空き駐車場があるかといった点が重視されることもあります。
あるいは、札幌のような雪国では、前面道路や駅までの動線の道にロードヒーティングがあるか、除排雪は定期的に行われているか、といったおおよそ東京では思いつかないような点が賃貸需要に大きく影響することもあります。
元々、東京などよりも賃貸需要の絶対量が少ない地方・郊外での賃貸経営において、こうしたエリア事情を理解しないまま収益物件を購入することは、とてもリスクが高いと思うのです。
さらに、これが一棟マンション・アパートであれば、建物全体に手を加えることで、やり方によっては不利を跳ね返す魅力を創出することもできるかもしれませんが、区分ワンルームでは、大家の裁量で自由にできるのは室内だけです。(実際には、室内の仕様変更にも、管理規約等で様々な規制を受けることもあります)
そうした点からも、エリアの賃貸需要が分からない地方や郊外で、いきなり区分ワンルーム投資を行うのはハイリスクだといえるでしょう。

■東京とは異なる遠隔対応の難しさ!

次にハードルとなるのは、そのエリアでの遠隔対応の難しさです。
主要なものを2つご紹介しましょう。

①外注できる管理会社が少ない!

東京であれば、区分ワンルームの集金代行や入退去業務を外注できる管理会社がいくらでもあります。大家さんとしては、ご自身の条件に合うパートナーを選べる立場というわけです。
しかし、そうした東京の管理会社のうち、地方や郊外でも引き受けてくれる会社は意外と多くありませんし(管理会社にも守備範囲があります)、そのエリアの地元不動産会社に外注しようにも、区分ワンルーム一部屋だけの管理では先方も儲からないうえ、遠隔で一見の大家さんは敬遠されてしまうこともあります。
東京では選べる立場だった管理の外注先ですが、地方や郊外では引き受け先の確保だけで一苦労というケースもあるのです。

②悪い意味で差別化されてしまうことがある!

東京の不動産会社が不特定多数を相手に商売しているのに対して、地方や郊外の不動産会社は特定少数を相手に商売している傾向があります。
そのため、地方や郊外の地場不動産会社からすれば、「地元の優良顧客 >遠隔の一見さん」といった見られ方となり、繁忙時期の入居付けの優先順位を低くされてしまったり、設備故障など有事の際にスムーズにいかないこともあります。
複数の部屋のある一棟マンション・アパートであれば、入退去に伴う業務などを繰り返し外注するうちに関係を構築できるかもしれませんが、一部屋しかない区分ワンルームではそれも難しく、委託費や広告費を積み増ししたり、定期的に現地に挨拶に行くなどでカバーせざるを得ないケースもあるようです。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、地方・郊外であっても、そのエリアの事情を熟知していたり、家族・親戚などがいればまた話は変わってくるでしょうし、1部屋だけの遠隔対応にも快く応じてくれる地場不動産会社もあることでしょう。
ここでお伝えしたかったのは、地方・郊外で区分ワンルーム投資をするのであれば、そのエリアの賃貸事情に合った物件を選び抜き、現実の賃貸運用をしっかり行える算段を付けておくことが大事ということです。
もしうまくいかずに撤退となっても、地方・郊外の収益物件は、東京のそれよりも売れにくいことも多いもの。
入念な準備と覚悟が、東京以上に必要になると言えるかもしれません。

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