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勢力図が変わる!?激しさを増すコード決済事業者の攻防!!

勢力図が変わる!?激しさを増すコード決済事業者の攻防!!

勢力図が変わる!?激しさを増すコード決済事業者の攻防!!

先日、日本のキャッシュレス決済の現状についての記事を書きました。(未読の方は、是非前の記事も合わせてご覧ください)

 日本はキャッシュレス後進国!? 21年度最新の決済事情を知ろう!

この記事のなかで、日本のキャッシュレス市場はまだまだ成長半ばでありつつも、特にコード決済の急成長が著しいことに触れましたが、実はそんなコード決済市場に、いま大きな変化が訪れようとしています。
コード決済とは、QRコードやバーコードを使用したキャッシュレス決済の総称で、店側が掲示したコードを消費者がスマホ等で読み込む「ユーザースキャン方式」と、消費者が自分のスマホ等の画面にコードを表示させ、それを店側がスキャナー等で読み込む「ストアスキャン方式」があります。
どちらの方式でもスマホがキーアイテムとなるため、コード決済市場では携帯電話事業者のシェアが高く、本稿を書いている2021年11月現在、ソフトバンクグループのPayPayを、NTTドコモのd払い、楽天グループの楽天ペイ、KDDIグループのauPAYなどが追うといった勢力図となっています。
本稿では、そんなコード決済事業市場に起きている大きな変化と今後の展望について、ご説明していきます。

■コード決済事業市場に起きた大きな変化とは!?

日本でコード決済が急拡大した背景について、導入コストが安い、とりわけPayPayを始めとするコード決済事業者の決済手数料0%キャンペーンが奏功したことが大きな要因であったことは、前回の記事でもご説明しました。
しかし、この決済手数料0円のキャンペーンに転機が訪れることになります。
シェアトップのPayPayを展開するPayPay株式会社が、2021年10月1日以降、決済手数料を有料化することを発表したのです。

【参考】PayPay株式会社 2021年8月19日プレスリリース

これに対して、真っ向から勝負をかけたのが楽天グループの楽天ペイです。
一定条件を満たす新規の中小事業者(加盟店)に向けて、2021年10月1以降は決済手数料を実質0円とするキャンペーンを打ち出しました。

【参考】楽天グループ キャンペーンサイト

さらに、決済手数料0円のキャンペーン終了時期を模索していたNTTドコモのd払い、KDDIグループのauPAYも、条件付きではありながら事業者(加盟店)に対する決済手数料0円のキャンペーン延長を発表することになります。

【参考】株式会社NTTドコモ 2021年8月31日プレスリリース

【参考】KDDI株式会社 2021年8月30日プレスリリース

ちなみに、本稿を執筆する2021年11月初旬現在、PayPay株式会社から決済手数料の有料化を見直す発表はなく、むしろ関係者からは「黒字化は数年以内」といった発言があったことが報道されました。決済手数料の有料化なくして事業の黒字化は不可能でしょうから、PayPayの決済手数料有料化の方針は当面は覆らないと解釈してよさそうです。
こうした各社の駆け引きの結果、決済手数料を有料としたPayPayを、決済手数料無料とするd払い、楽天ペイ、auPAYが追いかける展開となりました。

■今後のコード決済市場はどうなる!?

では、こうした変化を受けて、今後コード決済市場の勢力図はどうなるのでしょうか。
言わずもがな、カギを握るのはPayPayです。
決済手数料の有料化によって、PayPayを離脱する事業者(加盟店)がどのくらい発生し、競合との差が縮まる(逆転する)のかが最大の注目ポイントとなりますが、この点について、PayPay株式会社の親会社にあたるZホールディングス株式会社の第2四半期決算報告にて、速報値の説明がありました。
同社の説明によると、『中小個店への決済手数料有料化に伴う解約影響は加盟店舗数では0.2%(加盟店数344万箇所(2021年9月末時点)に占める、決済手数料有料化公表後に解約した店舗の割合)、取扱高では0.1% (FY2021Q2(7-9月)の月間平均取扱高に占める、2021年10月までに決済手数料有料化に伴い解約した店舗の同期間の月間平均取扱高の割合)と極めて軽微』とのこと。

【参考】Zホールディングス株式会社 決算説明会(2021年度第2四半期)プレゼンテーション資料より

この発表を受けて、早速SNSなどでは「影響が出るのはこれから」「解約しないだけで、実際にはPayPayお断りの店が増えそう」といった厳しい声もありますが、有料化したとはいえ、決済手数料率は1.60%/1.98%とクレジットカードなど他の決済サービスと比較すれば十分に低い水準ですし、公表値4,200万人もの累計ユーザー数を抱えている点は事業者(加盟店)も軽視できないはずです。
また、当面は決済手数料0円キャンペーンを継続するd払い、楽天ペイ、auPAYについても、いつまでも0円を継続できるはずがないことは、多くの事業者(加盟店)側も承知しているであろうことを考えると、今後極端な“PayPay離れ”が進む可能性は高くないのではないでしょうか。(もちろん、競合が加盟店を増やすことでシェアの差が縮まることはあると思いますが)

いかがでしたでしょうか。

ほんの数年前はスマホでのコード決済がこれほど日常生活に入り込むなんて想像もつきませんでしたが、今もなおコード決済事業者による激しい攻防は続いています。
事業者同士がシェア獲得を激しく競い合うということは、利用者にメリットの大きな施策やキャンペーンが展開される期待が高まるという側面もあります。
より便利に・よりお得なサービスが今後も出てくることを期待したいものですね!

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