資産運用

資産運用

大ブームの築古戸建投資! お手軽・簡単・初心者向きは本当!?

大ブームの築古戸建投資! お手軽・簡単・初心者向きは本当!?

大ブームの築古戸建投資! お手軽・簡単・初心者向きは本当!?

近年、築古戸建投資が大ブームともいえる人気を集めています。
築古戸建投資とは、「訳あり」の築古戸建物件(何らかの事情で管理が行き届かなくなった物件や、長期間お住いだった方が退去してそのままの物件など)を格安で購入し、かつそれを格安でリフォームして物件を賃貸・売却することで高利回りを実現する、といった投資法です。
購入資金が比較的少なくてすむこと、近年ではまず見られない高利回り(都心部でも20%、30%といった実績を公開される大家さんもいます)が実現できることから、不動産投資初心者の方も関心が高いようで、「不動産投資を始めるなら、区分ワンルーム投資よりも、築古戸建投資の方がよいのではないか?」といったご質問をよくいただきます。
しかし、私の周囲にも、築古戸建投資で成功している大家さんはいらっしゃいますが、聞けば聞くほど、巷で言われるようなお手軽・簡単・初心者向きの投資法ではないと感じます。
また、税務会計の面からも注意が必要な投資法でありますので、本稿では、築古戸建投資について、少し現実的な話をさせていただきます。

■築古戸建投資だから簡単に格安物件が見つかるわけではない!

まずは、巷でよく言われる「築古戸建投資であれば、初心者でも格安物件を見つけやすい!」といった誤解を解くことから、ご説明を始めたいと思います。
たしかに、一般に築古戸建の価格は一棟マンション・アパートよりも安価ですし、「訳あり」であればその内容や程度によって、更に安価に購入できることもあるでしょう。
しかし、それであっても、前述したような高利回りに化ける物件がゴロゴロしているわけではありませんし(ご自身で不動産売買のポータルサイト等で検索するとすぐに分かります)、そもそも「訳あり」による価格調整は築古戸建に限った話ではありません。
実際、築古戸建投資で実績のある方に話を伺うと、「以前取引した不動産業者から水面下で連絡をもらった」「訳ありの築古戸建を探していると、日ごろから不動産業者に名刺を配っている」「大幅な指値(値下げ)を通すノウハウを持っている」など、投資家個人の人脈・活動・スキルなどによって、「格安」で購入できていることが伺えます。
また、初心者の方には「訳あり」の見極めが難しいことも要注意です。
たとえば、「訳あり」の内容を、「ゴミ屋敷状態で残置物処理と内装工事が必要」だけと思っていたら、「屋根や外壁にも大掛かりな修繕が必要だった」「既存不適格・再建築不可・隣地境界トラブルなどの事情があった」とすれば、その解決のために更なる指値が必要だったかもしれません。
重要事項説明など一定の救済措置はあるものの、不動産取引に慣れない初心者の方がいきなり「訳あり」に挑むとすれば、こうしたリスクに対する備えと覚悟は必要です。

■築古戸建の物件再生・利益回収は、投資家のスキル差が出やすい!

では、仮に「残置物と内装工事以外には大きな問題のない築古戸建」を、周辺相場よりも割安に購入できたとしましょう。
次に検討するのは、物件再生と利益の回収方法です。
具体的には次のようなことを総合的に検討し、実行していく必要があります。(以下は選択肢の一例です)

・通常の賃貸物件レベルにしっかりリフォームして周辺相場家賃を設定する
  or
・最小限のリフォームにして家賃も抑える

・原則は自分でDIYして、部分的に職人に直発注する
  or
・工務店などに丸投げする

・長期間所有するつもりで毎月の家賃収入で回収する
  or
・物件再生したら早期に売却して回収する

専有部以外に自由の利かない区分投資や、小回りの利きにくい一棟物投資に対し、こうした自由度の高さは築古戸建投資の醍醐味といえるでしょう。
しかし、逆に言えば、投資家自身の知識・経験・スキルなどによって、その投資成果にバラつきが生じやすいということで、たとえば初めて不動産投資を取り組む方が、こうした選択肢を適切に判断したり、場合によっては戸建物件をDIYしたり職人に直接発注することは、現実的には難しいように思います。

■築古戸建では現金収支と税金計算のズレが出やすい!

もう1つ、築古戸建投資で注意すべきは「税金(所得税・住民税)」です。
収益物件を購入すると、その建物分について、毎年減価償却費を計上するルールとなっています。
-------------------------------------------------------------
※減価償却費の詳細については、コチラの記事をご参照ください。
・不動産投資 減価償却費での節税には要注意!!(前編)
・不動産投資 減価償却費での節税には要注意!!(後編)
-------------------------------------------------------------
たとえば、ある500万円の築古戸建(木造、築40年、土地300万円、建物200万円)を購入したとします。
木造の法定耐用年数は22年のため、耐用年数は4年となります。
---------------------------------------------------------
<参考>法定耐用年数を超過した中古物件の耐用年数>
  法定耐用年数 ×20%   ※小数点以下切り捨て
----------------------------------------------------------

上記例では、毎年50万円ずつ(200万円÷4年)減価償却費を計上し、その分が毎年の利益から差し引かれて節税になるため、購入当初は手元に利益を残しやすいかもしれません。
しかし、この節税効果は購入4年目でなくなり、それ以降は毎年50万円ずつ利益が増えた前提で税金は計算されることになります。
また、減価償却費の計上により収益物件の簿価は減耗し、売却時の税金に影響します。
もし、購入5年目に購入価格500万円で売却した場合、現金収支はトントンですが、税金計算での売却利益は簿価をベースにするため、200万円(500万円-300万円)の利益として課税されることになります。(話をシンプルにするため、売買時の諸費用は考慮していません)
こうした減価償却費による現金収支と税金計算のズレは、不動産投資全般に共通するものです。
しかし、法定耐用年数超過の木造物件が中心となる築古戸建投資では、耐用年数が4年と短くなるケースが多く、ズレの進みも早いため、敢えて触れさせていただきました。

いかがでしたでしょうか?
比較的少ない自己資金で始められることや、一部の成功大家さんが実現する高利回りに目がいきがちな築古戸建投資ですが、少なくとも初心者の方が気軽に手を出して、簡単に成功できるような甘い代物ではないことは、ご理解いただけたのではないでしょうか。
しかし、うまくハマれば夢のある投資法の一つではありますし、いま成功した大家さんも、元々は初心者だったわけです。
関心のある方は、是非入念に準備したうえで取り組んでみてくださいね!

このエントリーをはてなブックマークに追加

友だち追加

関連記事