資産運用

資産運用

物価高はついに家賃にも波及!?家賃上昇は不動産投資のセオリーを変えるのか!?

物価高はついに家賃にも波及!?家賃上昇は不動産投資のセオリーを変えるのか!?

物価高はついに家賃にも波及!?家賃上昇は不動産投資のセオリーを変えるのか!?

物価高が長期化するなかで、不動産投資家にとって見逃せない変化が起き始めています。家賃の上昇です。

これまで日本の不動産投資において、家賃は基本的に「横ばい」、あるいは「築年数とともに下落する」と想定するのがセオリーでした。都心部や再開発エリアなどの例外を除けば、家賃上昇を前提にした収支シミュレーションは、楽観的すぎると捉えられがちだったはずです。

しかし、食品、光熱費、人件費、そして建築費や修繕費、管理コストが軒並み高騰するなかで、住宅賃料だけがいつまでも据え置かれるという前提もまた、現実的ではなくなりつつあります。実際、消費者物価指数を見ても物価上昇は続いており、東京都が発表した2026年5月分の東京都区部消費者物価指数でも、「家賃」は前年同月比1.2%増、「民営家賃」は1.5%増となっています。

【参考】東京の物価−東京都区部消費者物価指数 令和8年(2026年)5月分:https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/bukka/2026/bk2651data.htm

ただし、家賃は食品や日用品のように、コスト高を即座に価格転嫁できる性質のものではありません。本稿では、物価高が家賃に波及しつつある現状を踏まえ、不動産投資家がインカム(賃貸収入)とキャピタル(物件価格)の捉え方をどうアップデートすべきかを整理します。

家賃はすぐには上がらない。市場の「遅れ」と実務のハードル

まず押さえておきたいのは、家賃という価格の「動きの遅さ(タイムラグ)」です。家賃は市場で毎日変動する価格ではなく、既存の賃貸借契約に基づいた固定的な性格を持ちます。どれだけ建築費や管理コストが上がっても、既存入居者の家賃に即座に反映されるわけではありません。そのため、新規募集賃料が上がり始めても、ポートフォリオ全体や統計上の家賃に反映されるまでには一定の時間を要します。

また、オーナー側のコスト(修繕費・清掃費・人件費・固定資産税等)が増加しているからといって、一方的な値上げ請求が簡単に通用するわけではありません。法律上、増額請求自体は可能ですが、実務上は入居者の納得を得られなければ、賃料増額の協議が難航したり、関係悪化や退去につながったりする可能性があります。周辺相場との比較や設備の維持状態など、丁寧なコミュニケーションと妥当性の証明が不可欠です。

そのため、実務的には「契約更新時」や「退去後の新規募集時」が家賃見直しの主要なタイミングとなります。最近では管理会社側から更新時の増額交渉を提案するケースも増えていますが、これは単なる便乗値上げではなく、周辺相場や運営コストの増加を踏まえた調整と位置づけるべきでしょう。

二極化の加速:「家賃を上げられる物件」と「上げられない物件」

重要なのは、この家賃上昇の波が「全国一律にすべての物件に及ぶわけではない」という点です。今起きているのは、家賃が一律で上がる時代への突入ではなく、「家賃を上げられる物件」と「上げにくい物件」の差が広がる局面です。

都心部、人口流入エリア、駅近、供給が限られた競合の少ないエリア、あるいは強い法人・単身需要を抱える物件では、周辺相場の上昇に伴って賃料改定を進めやすい環境が整っています。一方で、人口減少が進む地方エリアや、似たような間取りの競合物件が過剰に存在するエリアでは事情が大きく異なります。住民の所得水準が伸びていなければ、物価高だからといって家賃の上乗せを受け入れる余力はありません。築古で差別化要因のない物件に至っては、現行家賃の維持すら難しく、今後も緩やかな下落基調が続く可能性があります。

したがって、今後の収支シミュレーションにおいて、単純に「毎年◯%ずつ家賃が上がる」といった一元的な前提を置くのは極めて危険です。入退去のタイミングで自然に引き上げられるエリアなのか、あるいはリノベーションや設備投資、管理運営(PM)の工夫によって賃料を高められるのかといった、個別の実現可能性まで落とし込まない家賃上昇前提は、単なる楽観論に過ぎません。

インカムだけでなく、収益還元価値(キャピタル)へ及ぼす影響

家賃上昇のインパクトは、毎月のインカムゲインだけでなく、物件の売却価格(キャピタルゲイン)や収益評価の根幹にも大きな影響を与えます。従来の不動産投資では、「築年数の経過に伴い家賃が下がり、それに連動して収益価格も下がる」という減価のシナリオが基本でした。しかし、もし物件の収益力(家賃)そのものが上昇に転じるのであれば、構造が変わります。

収益還元法に基づけば、想定利回り(いわゆるCap Rate)が一定であった場合、家賃上昇によって年間の純収益(NOI=賃料収入から運営費用を差し引いたもの)が増加すれば、物件の還元価格はダイレクトに上昇します。近年の不動産価格高騰は、主に「利回り低下(キャップレートの縮小)」による低金利環境依存の価格上昇という側面が強くありました。しかし、家賃上昇による価格上昇は、「物件そのものが生み出すキャッシュフローの増加」に裏付けられた、より本質的な価値の上昇を意味します。

もちろん、金利上昇リスクや運営コスト(修繕費等)の増加という逆風要素は差し引いて考える必要があります。それでも、築年数の経過=一律の価値下落という固定観念が崩れ、収益力で価格を支えられる時代に入ったことは、投資家にとって極めて大きなトレンド変化といえるでしょう。

最後に

いかがでしょうか。物価高がついに家賃へ波及し始めた現状は、日本の不動産投資における「保守的シナリオ(横ばい・下落前提)」の再定義を迫っています。しかし、それは「物価高だから買えば上がる」という単純な市場ではありません。

エリアや物件のスペック、そしてオーナーの運営力によって、家賃を改定できる物件と家賃維持すら難しい物件の差は、これまで以上に広がっていく可能性があります。金利上昇やコスト高という課題が存在するからこそ、外部環境の変化に依存するのではなく、「どの物件で、どのタイミングで、どのような根拠を持って家賃を引き上げられるのか」を自分の言葉で論理的に説明できる戦略性が、これからの不動産投資家には求められることでしょう。

ご自身が保有する物件、あるいはこれから検討している物件が、家賃を引き上げやすい条件を備えているかどうか。この機会に一度、整理してみてはいかがでしょうか。

まずは30秒、ご自身のタイプを知ることから

運営会社のレアルエージェンシーでは、こうした資産運用にご関心をお持ちの方向けに、無料の資産運用タイプ診断(30秒・6問)を提供しています。

関連記事