資産運用

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預金は増えるのにローンは重くなる。金利上昇が生む家計の"二つの顔"

預金は増えるのにローンは重くなる。金利上昇が生む家計の"二つの顔"

預金は増えるのにローンは重くなる。金利上昇が生む家計の"二つの顔"

日銀は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げました。1995年以来31年ぶりとなる水準です。これを受けて3メガバンクの普通預金金利は、2026年2月にすでに0.2%から0.3%へ引き上げられており、2026年8月3日からはさらに0.4%になる予定です。市場では次の利上げは10月か12月ではないかという観測が広がっており、最終的に政策金利が1.5〜2%程度まで上がるとの見方も出ていますが、これはあくまで市場の予想であり、確定した話ではありません。

「金利のある世界」という言葉をニュースで見かけない日はなくなりました。ただ、この変化が自分の家計にとって良い話なのか悪い話なのか、実はぴんと来ていないという方も多いのではないでしょうか。預金の利息は増えるけれど、住宅ローンの返済はどうなるのか。保険や年金にはどう影響するのか。金利が上がるという一つの出来事は、預金・借入・保険・投資といった生活のさまざまな場面に、それぞれ違う形で損得を生み出します。この記事では、金利上昇によって誰がどう得をし、誰がどう損をしうるのかを、一つずつ整理していきます。

金利が上がって得をする人

まず分かりやすく恩恵を受けるのが、預金者です。3メガバンクの普通預金金利は2026年2月に0.2%から0.3%へ、2026年8月3日からはさらに0.4%へと引き上げられます。数年前までの0.001%水準を知っている方からすると、わずかな変化に見えるかもしれませんが、0.2%から0.4%への引き上げは単純計算で利息が2倍になったということでもあります。まとまった預金を持つ世帯ほど、この変化を利息の受け取り額として実感しやすくなります。

次に恩恵を受けやすいのが、年金の積立金を運用する側です。公的年金にせよ企業年金にせよ、その原資の一部は国内外の債券で運用されています。政策金利が上がり、それに連動して市場金利全体が上昇する局面では、新たに購入する債券の利回りが改善するため、長期的な運用成績にとってはプラスに働きやすくなります。もちろん株式や為替など他の要因も影響するため一概には言えませんが、「金利が上がる=年金運用にとって逆風」ではなく、むしろ追い風になり得るという点は、あまり知られていない事実かもしれません。

保険会社と契約する側にも変化が及びます。生命保険会社は、契約者から預かった保険料を国債などで運用し、その運用利回りを織り込んで「予定利率」を設定しています。市場金利が上がれば、保険会社が新規に契約を引き受ける際の予定利率も見直されやすくなり、学資保険や個人年金保険といった貯蓄性の高い保険商品で、将来受け取れる額と払い込む保険料の関係が改善する可能性があります。これは既に契約している人にはあまり関係がなく、これから新規に契約する人に限った話である点には注意が必要です。低金利の時期に「貯蓄性の保険はあまり増えない」と言われてきた背景には、この予定利率の低さがありました。金利上昇が続けば、この状況が緩やかに変わっていく可能性があります。

このように、金利が上がって得をする側にいるのは、基本的に「お金を貸している側」「お金を預けている側」です。銀行に預金をするというのは、銀行にお金を貸しているのと同じ構図であり、貸し手は金利が上がるほど受け取る利息が増えます。年金の運用資金も保険料も、突き詰めれば誰かに貸し出されて運用されているお金です。金利上昇の恩恵がどこに向かうかを考えるとき、「自分は貸し手側にいるかどうか」という視点は一つの軸になります。

金利が上がって損をする人

一方で、これまでとは逆に、お金を借りている側には金利上昇が重荷になります。最も身近な例が、変動金利型で住宅ローンを組んでいる方です。変動金利は短期プライムレートなど市場の短期金利に連動する仕組みになっており、日銀が政策金利を引き上げ、それが銀行の貸出金利に反映されていけば、いずれ変動金利の適用金利にも影響が及ぶ可能性があります。多くの金融機関では返済額の見直しに一定のタイムラグやルールが設けられていますが、借入額が大きいほど、金利がわずかに動くだけで毎月の返済額や総返済額へのインパクトは大きくなります。低金利が長く続いたこの十数年、「変動金利の方が固定金利より有利」という前提で住宅ローンを組んだ方は少なくないだけに、この局面は多くの家計にとって初めて経験する変化だといえます。

借入をして事業を営んでいる方にとっても、金利上昇は無視できないテーマです。運転資金や設備投資の資金を金融機関からの借入でまかなっている中小事業者は多く、借入金利が上がれば、その分だけ利払い負担が増え、手元に残る利益が圧迫されます。特に借入への依存度が高く、利益率がもともと薄い業種ほど、金利上昇の影響を受けやすくなります。個人事業主として不動産賃貸業を営んでいる方や、事業拡大のために借入を増やしてきた経営者にとっても、これまでの資金計画を一度見直す必要が出てくる局面です。

クレジットカードのリボ払いやカードローンなど、そもそも金利水準が高い借入についても、基準となる金利が上がれば実質的な負担が増える方向に働きます。「借りている」という立場である以上、金利上昇はコストの増加として跳ね返ってくるというのが基本の構図です。

つまり、金利が上がって損をする側にいるのは、「お金を借りている側」です。住宅ローンも事業性の借入も、突き詰めれば銀行からお金を借りているという意味では同じ構図にあります。借り手であるほど、金利上昇の負担を直接受けやすくなります。

自分がどちら側にいるかを知ることの大切さ

ここまで、預金者や年金の運用資金、保険の新規契約者を「得をする側」、住宅ローンや事業性の借入を抱える方を「損をする側」として整理してきました。ただ、実際の家計を見てみると、この二つはきれいに分かれるものではないというのが実情です。

たとえば、住宅ローンを変動金利で組みながら、同時にまとまった預金も持っているという方は珍しくありません。この場合、ローンの利払いが増える一方で、預金の利息も増えるという、両方の影響を同時に受ける立場にあります。どちらの影響がより大きいかは、借入残高と預金残高のバランス、そして金利がどれだけ上がるかによって変わってきます。事業を営みながら個人としても資産運用をしている方であれば、なおのこと「得をする側」と「損をする側」の両方の顔を併せ持つことになります。

このとき大切なのは、「自分は得をする側にいるはずだ」「損をする側にいるはずだ」と一方向に決めつけず、資産と負債の両方を並べて見てみることです。資産の側には預金、保険、年金、投資信託などが並び、負債の側には住宅ローン、事業性の借入、カードローンなどが並びます。それぞれに、金利上昇がどちら向きに作用するかを一つずつ当てはめていくと、自分の家計が金利上昇局面でどちら側に傾いているのかが、感覚ではなく具体的な形で見えてきます。

金利がどこまで上がるかは、市場の予想がいくつも出ている段階であり、まだ確定していません。だからこそ、「今の金利水準でどうか」だけでなく、「もし金利がもう少し上がったらどうなるか」まで含めて、自分の資産と負債のバランスを把握しておくことに意味があります。

最後に

金利が上がるというニュース一つをとっても、それが自分にとって得なのか損なのかは、預金・住宅ローン・保険・事業といった要素の組み合わせによって変わってきます。単純に「金利が上がって嬉しい」「金利が上がって困る」のどちらか一方で片付けられる話ではありません。

この機会に、ご自身とご家族が持っている資産(預金・保険・年金・投資など)と負債(住宅ローン・事業性の借入など)を一度書き出し、それぞれに金利上昇がどう影響しうるかを当てはめてみてはいかがでしょうか。家計全体を俯瞰してみると、これまで漠然としていた金利上昇への向き合い方が、少し具体的に見えてくるはずです。

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