ライフ
アルバイトをしていると、急な体調不良や家庭の事情などでどうしても休まなければならない場面がありますよね。
しかし、そんなときに「休むなら代わりを自分で探せ」と店長や上司から言われたことはありませんか?
先日、著者の知人がアルバイト先で休みを申請したところ、店長から「突然休むなら、自分で代わりを探してから連絡してくれ」と言われたそうです。
しかも、これは今回に限ったことではなく、その職場では当然のルールのように扱われており、断れる雰囲気ではなかったとのこと。
読者の皆さんの中にも、同じような経験をした方がいるのではないでしょうか?
このような場面で、多くのアルバイト従業員が疑問に思うのは以下のような点でしょう。
・本当に代わりを見つけるのは自分の義務なの?
・もし代わりが見つからなかったら、シフトを休めないの?
・そもそも法律的に問題はないの?
結論から言えば、「代わりを探すこと」はアルバイト側の義務ではなく、これを強要することは法的にNGな行為といえます。
しかし、その一方で「法律を盾に反論するのは難しい」という現実的な事情もあることでしょう。
そこで本稿では、「休むなら代わりを自分で探せ!」に対して、法的な観点と現実的な対策の両面から分かりやすくご説明していきます。
まずは法的な考え方からご説明しましょう。
結論から言うと、店長等から「休むなら代わりを探せ」と言われたとしても、これに法的な拘束力はありません。
大前提として、アルバイトを含む労働者と会社との間には労働契約が存在しますが、この労働契約でアルバイトが負うのは労働提供義務であり、シフトの管理や人員配置の責任は基本的に「使用者(会社や店舗側)」にあるからです。
言い換えると、従業員が休む場合の人員確保は店長や管理者の責任範疇であり、これをアルバイトに強要することは業務命令権の濫用にあたる可能性があります。
一般論としては、「休むなら代わりを探せ」の強要は違法の可能性が高く、たとえば山梨県労働委員会事務局からも以下の見解が公開されています。
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<参考>山梨県ホームページ 労働相談Q&A 『6非正規(5)』
https://www.pref.yamanashi.jp/roudou-iin/roudousoudanqanda.html
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また、意外に知られていませんが、アルバイトやパートであっても、「6か月以上継続して雇用されていること」「全労働日の8割以上出勤していること」等の所定条件を満たせば、有給休暇を取得する権利があります。(労働基準法第39条)
有給休暇の取得要件には「代替要員の確保」はありませんので、この点からも「休むなら代わりを探せ」に法的な根拠がないことが説明できます。
※より正確にいえば、有給休暇の取得申請に対して、使用者側にも時季変更権が与えられています。
時季変更権は、労働者が希望する有給休暇の時期が「事業の正常な運営を妨げる場合」に例外的に有給休暇の取得時季を変更できる権利ですが、その行使は厳格に運用されており、少なくとも「慢性的に人手不足だから」「ギリギリの人数で回しているから」といった理由では認められないと考えられます。
さて、ここまで法的な考え方をご説明しましたが、実際のアルバイト現場では、法律論だけで解決できない問題もあります。
例えば、急な欠勤が続くと職場の雰囲気が悪くなったり、人手不足で他の従業員に迷惑をかけたりする可能性があります。
また、「法律ではこうだから!」と店長に直接反論するのも、トラブルの原因になりかねないでしょう。
そこで、現実的な対応策として以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
1. できる限り早めに連絡する
突然の体調不良などで休まざるを得ない場合でも、できるだけ早く店長や管理者に連絡しましょう。
「ギリギリになって言われるより、前もって伝えてもらったほうが助かる」と考える店長は多いはずです。
2. 可能であれば、自分から交代要員を探す
「代わりを探す義務はない」とはいえ、円満な職場関係を維持するためには、自主的に交代要員を探すのも一つの手段です。
同僚と日ごろから良好な関係を築いておけば、いざというときに助けてもらいやすくなります。
ただし、見つからなかった場合に「じゃあ休めない」というわけではないので、そこは誤解しないようにしましょう。
3. 有給休暇の権利を活用する
先述したように、一定の条件を満たしていれば、アルバイトでも有給休暇を取得できます。
有給休暇の取得を希望する場合は、事前に計画を立てて申請することで、スムーズに休める可能性が高まります。
いかがでしょうか。
結論として、アルバイト先で「休むなら代わりを探せ!」と言われた場合、法的にはそれに従う必要はありません。
人員の確保は使用者側の責任であり、アルバイト側にその義務はないからです。
また、一定の条件を満たせば、アルバイトでも有給休暇を取得する権利があります。
「代わりを見つけなければ休めない」というルールは、労働基準法の観点から見ても不適切であり、もし強制される場合は労働基準監督署に相談することも視野に入れましょう。
ただし、現実的には職場の円滑な運営を考え、自主的に交代要員を探したり、早めに連絡を入れたりすることも大切です。
日ごろから周囲と良好な関係を築いておけば、いざというときにスムーズに対応できるでしょう。
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