資産運用

資産運用

家賃を下げる前に確認を!空室が決まらないときに大家がチェックすべきポイントとは!?

家賃を下げる前に確認を!空室が決まらないときに大家がチェックすべきポイントとは!?

家賃を下げる前に確認を!空室が決まらないときに大家がチェックすべきポイントとは!?

もうすぐ、転勤や異動に伴う引っ越しが増える秋の賃貸繁忙期を迎えます。春ほど大きな動きではないものの、夏まで空室が続いている物件にとっては、入居者を決めるための重要なタイミングです。

空室が長引くと、管理会社や仲介会社から、次のような提案を受けることがあります。

「家賃を下げましょう」
「AD(広告料)を増やしましょう」
「初期費用を大家負担にしましょう」

もちろん、現在の募集条件が周辺相場から外れているのであれば、家賃やAD、設備などを見直す必要はあります。しかし、安易に家賃を下げる前に、大家として確認すべきことがあります。

そもそも物件情報は、入居希望者や周辺の仲介会社へ十分に届いているのでしょうか。内見しやすい状態になっているのでしょうか。さらに、大家が把握していないところで、入居希望者へ高額な初期費用や月額費用が上乗せ提示されていないでしょうか。こうした募集現場の実態を確認しないまま大家側の負担だけを増やしても、空室の根本的な原因を解消できない可能性があります。

本稿では、空室が決まらないときに、家賃を下げる前に大家が確認しておきたい実務上のポイントについて整理します。

空室の原因は、家賃や設備だけとは限らない

空室が続くと、多くの大家はまず「家賃や設備に問題があるのではないか」と考えます。周辺物件より家賃が高いのではないか。エアコンやインターネット無料設備を追加した方がよいのではないか。敷金や礼金をなくすべきではないか――。

こうした検討は不可欠ですが、大前提として「募集活動」が十分に行われていなければ、いくら条件を改善しても入居者には届きません。

たとえば、主要な不動産ポータルサイトに物件が掲載されていない。掲載されていても、写真が少ない、間取り図が古い、設備情報が不足している。あるいは、管理会社の自社サイトにしか掲載されておらず、他の仲介会社が積極的に紹介できる状態になっていない。このようなケースは実際の現場で珍しくありません。

また、空室物件の鍵が現地(キーボックス等)に設置されておらず、わざわざ管理会社の営業時間内に店舗まで借りに行かなければならないなど、内見までの手続きが煩雑になっていることもあります。仲介会社の担当者は、短時間で複数の物件を案内します。似たような条件の物件が複数あるなら、当然「すぐに内見できる物件」が優先されやすくなります。

ADについても同様です。ADとは、入居者募集を促進するために、大家側が家賃の1ヶ月分、2ヶ月分といった形で負担する広告料などを指します。しかし、大家がADを負担したからといって、自動的に客付けが強化されるわけではありません。そのADの条件が周辺の仲介店舗へ十分に伝わっていなかったり、他の物件に埋もれないための施策として有効に使われていなかったりする可能性もあります。情報提供や営業活動が不足していれば、より紹介しやすく、仲介会社にとって収益性も高い他の物件が優先されてしまうのです。

空室が決まらないときは、家賃や設備を見直す前に、まず「物件情報がどこに掲載され、どのような条件で仲介会社へ共有され、内見しやすい状態になっているか」を確認する必要があります。

大家の知らない費用が、入居希望者を遠ざけていることも

大家が把握している募集条件といえば、通常、家賃、共益費、敷金、礼金、保証会社利用料などが中心です。しかし、実際に入居希望者へ提示される費用は、それだけとは限りません。

契約時の見積書には、火災保険料に加えて、消臭・抗菌施工代、消火器や防災用品代、契約事務手数料などが上乗せされることがあります。さらに入居後も、24時間サポート費、集金代行手数料、入居者向けサブスクリプションサービスなどが、家賃や共益費とは別に毎月請求されるケースがあります。

もちろん、これらのサービス自体に価値があり、入居者が内容と料金に納得して希望しているのであれば何の問題もありません。また、仲介会社や管理会社も営利事業ですから、仲介手数料や管理料以外の収益源をつくること自体が直ちに不適切というわけでもありません。

問題なのは、大家が求めていないサービスが「十分な説明もないまま実質的な必須項目」として扱われたり、入居者が「任意の商品を契約条件の一部だと誤解するような案内」が行われたりすることです。くわえて、こうした費用の設定や説明方法は、会社や店舗、担当者によって異なることもあり、大家側からは実態が見えにくいのが厄介な点です。

その結果、大家が設定した家賃自体には競争力があっても、入居者から見た「契約時の初期費用」と「入居後の毎月の総支払額」が跳ね上がり、周辺の競合物件より割高になってしまいます。

そこで管理会社から、

「初期費用が高くて決まらないので、大家負担にしましょう」
「毎月の負担感を下げるために、家賃を値下げしましょう」

と提案されることがあります。しかし、大家には負担増を求める一方で、自社独自の費用を入居者に上乗せしているのであれば、改善の順番が完全に逆です。

大家が身を切って家賃を月額2,000円下げても、入居者が契約時に数万円の追加費用を求められたり、毎月、必要性の分かりにくいサービス料金まで負担していたりすれば、物件全体としての割安感など生まれません。大家は自分の設定した条件だけでなく、「入居希望者へ実際にどのような初期費用と月額費用が提示されているのか」という総額のリアルまで踏み込んで確認する必要があります。

適正な利益を確保してもらいながら、任せきりにしない

ここまで見ると、「仲介会社や管理会社を厳しく監視すればよい」と思われるかもしれません。しかし、大家側も、不動産会社が営利事業であることを忘れてはいけません。

インターネット上では、相見積もりや値下げ交渉、施主支給などを活用し、管理費用や修繕費を抑えるノウハウが数多く紹介されています。不要な支出を見直し、割高な提案を避けることは、賃貸経営において当然の努力です。

一方で、管理料や修繕費を極端に値切る、利益の出る工事をすべて施主支給にする、手間のかかる対応を求めながら報酬は最低限に抑える――。こうしたことを繰り返せば、不動産会社にとってその物件は「扱っても適正な利益が出ない(=割に合わない)物件」になってしまいます。そうなれば、人員や時間を優先的に割こうという動機が弱くなるのは、企業活動としてある意味自然なことです。

さらに、相場から大きく外れた家賃を見直さない、必要な修繕や設備更新を拒み続ける、判断や回答が遅い、担当者へ横柄な態度を取るといった大家側の事情が加われば、現場担当者のモチベーションを下げるダメ押しとなります。

もちろん、十分な利益が出ないことや大家との関係性が悪いことが、募集活動を怠ったり、入居者に不透明なサービスを契約させたりしてよい免罪符にはなりません。しかし、不適切な行為を正論として批判するだけでなく、「そうした行為が起こりにくい関係性を大家側からつくること」も、極めて現実的な経営判断です。

そのためには、適正な仕事には適正な利益を確保してもらう一方で、募集の実態を「任せきり」にしないことが重要です。定期的にポータルサイトの自物件の掲載状況を確認する。業者間で流通している募集図面(マイソク)や条件表の写しを見せてもらう。入居希望者へ提示する初期費用や月額費用の見積例を確認する。

毎回、重箱の隅をつつくように監視する必要はありません。「この大家は、募集条件だけでなく、実際の掲載内容や入居者への案内までしっかりと見ている」と認識してもらうだけでも、不正や怠慢を防ぐ適度な緊張感につながります。

大切なのは、不動産会社を全面的に信用して丸投げすることでも、最初から疑って過度に監視することでもありません。適正な利益はしっかり確保してもらいながら、説明と現場の実態が一致しているかを確認する。その健全な関係性を築くことこそが、長く付き合いながら空室を減らしていくうえで重要になります。

まとめ

いかがでしょうか。

空室が決まらないと、家賃の値下げや設備投資、ADの増額など、どうしても大家側の「身を切る対策」にばかり目が向きがちです。もちろん、募集条件が相場から外れているのであれば見直しは不可避です。

しかしその前に、物件情報が十分に市場へ流通しているか、仲介会社が紹介しやすい状態になっているか、入居者に過度な初期費用や月額費用が提示されていないかを確認しなければなりません。同時に、過度なコストカット要求などで不動産会社の利益を削りすぎ、彼らが積極的に動く動機まで奪っていないか、大家側も自らの振る舞いを振り返る必要があります。

不正や怠慢は許さないという適度な緊張感を保ちつつ、適正な仕事には適正な利益を得てもらう。家賃や設備といった目に見える数字だけでなく、「募集の現場」と「業者との関係性」まで点検し直すことが、空室を長期化させないための実務的かつ本質的な対策になるのではないでしょうか。

最後に

空室が続くと、どうしても目の前の条件を動かしたくなります。ただ、家賃を一度下げると、次の入居者が退去するまでその水準が続き、物件の収益力そのものに影響していきます。値下げは、あくまで打てる手を打ち切ったあとの最終手段として考えたいところです。

ご自身の物件の募集状況をどう確認すればよいか、いま届いている提案が妥当なのか判断がつかないという場合は、お気軽にご相談ください。

まずは30秒、ご自身のタイプを知ることから

空室対策も売却の判断も、その物件で何を実現したいのかによって最適な打ち手が変わります。簡単な診断で、ご自身に合った考え方の方向性を確認いただけます。

関連記事