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ワイモバイルの料金改定は何を意味する!? 楽天・UQとの違いに見る通信各社の戦略とは!?

ワイモバイルの料金改定は何を意味する!? 楽天・UQとの違いに見る通信各社の戦略とは!?

ワイモバイルの料金改定は何を意味する!? 楽天・UQとの違いに見る通信各社の戦略とは!?

先日、KDDIのサブブランドにあたる「UQ mobile」が料金プランを改訂したことがSNSで話題となりました。通信容量を増やしつつ料金を値上げするという予想通りの内容でしたが、注目すべきは既存契約者に対しても新条件を適用するという点です。従来の「既存契約者は据え置き」という業界慣行を覆したその対応は、賛否を呼びながらも大きな注目を集めました。

 

一方で、しばらく動きが見られなかったソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」も、ついに新料金プラン「シンプル3」を発表しました。UQと異なり既存契約者には適用せず、割引や特典を前提とした複雑な設計が特徴です。その姿勢は、競合する楽天モバイルともまた異なるメッセージを放っています。

 

本稿では、UQ mobile・ワイモバイル・楽天モバイルの戦略の違いを整理し、さらにショッピング領域でのポイント施策を絡めながら、通信事業者が描く経済圏戦略を考えてみたいと思います。

 

 

 

■UQとワイモバイル――「既存契約者」への向き合い方の違い

 

まず、UQ mobileは既存契約者も含めた一律改定を断行しました。業界慣行を破り、負担増を真正面から受け入れてもらう姿勢です。裏を返せば「料金の公平性」を打ち出したとも言えますが、長年の利用者からすれば「突然の値上げ」と映り、反発の声も見られました。既存顧客の信頼を揺るがすリスクを抱えながらも、KDDIはあえてその道を選んだわけです。

 

これに対し、ワイモバイルは既存契約者を対象外とし、新規契約者にのみ新プランを適用しました。新規ユーザーには光回線やクレジットカードなどグループサービスとの組み合わせを条件とすることで実質的に据え置きとし、単体契約なら値上げという設計。つまり「経済圏に入れば得、単独なら高い」という二重構造です。

 

ここで重要なのは、この戦略が過去に批判を浴びた強硬な囲い込みを彷彿とさせる点です。条件を満たさなければ割高、満たせば得という仕組みは、ユーザーをグループ内に縛り付ける設計であり、批判が再燃しかねません。おそらくソフトバンク陣営もそのリスクを踏まえ、既存契約者までは踏み込めなかったのだと考えるのが自然でしょう。

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■楽天モバイルは「素の安さ」を維持

 

では楽天モバイルはどうでしょうか。楽天は料金プランをあえて複雑化させず、通信そのものの安さを前面に打ち出しています。楽天カードや楽天市場の利用状況によって携帯料金が変動することはなく、「モバイルはモバイル単体で安い」という分かりやすさを堅持しています。

 

ただし、その裏ではポイント施策を通じてヘビーユーザーを切り捨てています。楽天市場の「SPU」やキャンペーンは高還元を謳いながらも、月間付与上限を厳しく設定しているため、重課金層ほど早く頭打ちとなり、実効還元率が下がります。ライト層を広く獲得しつつ、ヘビーユーザーにはコストをかけないという方向性が鮮明です。

 

これと比べると、ワイモバイルは「単体では割高でも、経済圏に深く入ってくれるユーザーなら歓迎する」という設計で、両社の立ち位置の違いは明確です。

 

 

 

■ショッピング領域に映る経済圏戦略の共通点と違い

 

この違いはショッピング事業にも表れています。楽天市場は還元率を高く見せつつ、月間上限を設けることで重課金層の負担を抑えています。一方のヤフーショッピングは、月間上限は高水準を維持しつつ、付与ポイントを「PayPayポイント(期間限定)」に切り替え、利用範囲や期限を制限することで、グループ内での消費・回遊を強制する仕組みを整えました。

 

楽天の狙いは、ポイントを徹底的に使いこなすヘビーユーザーではなく、むしろ期間限定ポイントを失効させたり、重複キャンペーンを見逃したりするようなライトユーザーを厚く抱えることにあります。逆にソフトバンクは、自社グループ内で回遊してくれるならヘビーユーザーに得をさせても構わない、という姿勢です。

 

方法は違えども、両者とも「自社経済圏の中でユーザーをどう管理するか」という課題に向き合っている点では共通しています。

 

そしてその発想の差は、ショッピングだけでなくモバイル料金プランにも直結しています。楽天はシンプルな低価格を維持し、ライト層を広く集める設計。一方ワイモバイルは複雑な条件を課し、経済圏にどっぷり浸かるユーザーに手厚い還元を与える仕組み。通信とショッピングの両面に、同じ思想が一貫して流れていることが分かります。

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いかがでしょうか。

 

UQ mobileは既存契約者も巻き込む一律改定で「負担増を正面から受け入れてもらう」戦略を取りました。ワイモバイルは既存を守りつつ、新規には経済圏への囲い込みを前提とする複雑な料金設計を提示しました。そして楽天モバイルは、シンプルな安さを維持しつつ、ポイント制度ではヘビーユーザーを冷遇するという整理を進めています。

 

この三者三様の姿勢は、そのままショッピング領域のポイント施策の違いにも通じています。楽天は「上限で管理する」、ソフトバンクは「用途を制限して囲い込む」。通信とショッピングという二つの舞台に通底する戦略の差異は、単なる料金改定を超え、「誰に残ってもらい、誰を切り捨てるのか」という経営哲学の表れでもあります。携帯料金プランの裏側には、利用者をどう経済圏に組み込むかという、したたかな構想が潜んでいるのです。

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