保険年金

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国民年金と厚生年金 知らなかった!をFPが解説

国民年金と厚生年金 知らなかった!をFPが解説

筆者が行う日ごろのマネー相談業務において、昨今、相談者が最も不安視するテーマが、老後の資産です。

この10年間で比べると、「公的年金だけでは足りない、不動産収入やiDeCo(イデコ)など私的な資産形成をしなければいけない」と、意欲的な人が増えたのは事実で、とても良い事だと思います。しかし老後収入の基本となる、公的年金のしくみや、制度をしっかりと理解されている人は、少ないのも事実です。

外国人でも加入必須 日本の年金制度

わが国で、いわゆる「年金」とよばれる制度は、強制加入である「国民年金」と「厚生年金」の2つになります。20歳になれば、国内に居住するすべての人に、年金加入の義務が発生します。「国内に居住」ですから、日本人であるか外国籍であるかは、問われません。

厚生労働省HP公的年金制度の仕組み(平成27年度3月末数値)より

 

よく「2階建て」という表現をしますが、別名「基礎年金」とも呼ばれる、国民年金(1階)部分だけの人と、厚生年金(2階)まで加入する人とに分けられます。後者に該当するのは、「第2号被保険者」だけです。

  • 第1号被保険者:自営業者やフリーランスで仕事をしている人
  • 第2号被保険者:企業に勤めている従業員や役員、公務員や私立学校教職員など
  • 第3号被保険者;第2号被保険者の被扶養配偶者

これまで「共済年金」と呼ばれていた、公務員や私立学校教職員が加入していた制度は、平成29年10月を以って厚生年金と合併されました。いずれにしても、職種で被保険者分類が変わるので、筆者個人的には、今の時代にあった制度とは考えにくいものだと思います。

特にそれを感じるのは、第3号被保険者の存在です。

現在の年金制度が元は任意加入であったところ、昭和61年に強制加入になった際、これまで夫の下で、世帯単位で保障されていた妻の存在を、あえて単独の権利として確立させるために「第3号被保険者」は誕生しました。

第2号被保険者が「世帯」としてカウントされるのに対して、第1号被保険者が夫婦でも、「個々」で強制加入している事との整合性を合わせる為でした。とはいえ、第3号被保険者の発足はその当時、女性の地位を確立するひとつとして、重要なポイントであったと受け止めます。

しかし30年が経った今、一生独身であることや、離婚・転職がめずらしくない社会において、その都制度異動手続きを行い、私的年金であるiDeCoの口座変更、拠出額の変更などを強いられるのは、時代にそぐわないと筆者は感じます。

 

女性の社会進出を拒むイメージになっている、第3号の存在

他にも時代にそぐわないものとして、第3号被保険者の存在があります。第3号被保険者の保険料は、配偶者が勤める企業が負担している為、世帯から拠出している実感がなく、配偶者が「扶養されているほうがお得」と考え、収入を抑えようとする要因のひとつになっていると考えます。

外国人労働者を受け入れる事が急務になりつつある、労働人口の減少する日本において、第3号被保険者のほとんどを占める「女性」の社会進出を、心理的に拒む要因はなるべく排除すべきだと思います。

第1号被保険者の配偶者が、所得から保険料を支払っているのと同様に、第3号被保険者も、第2号被保険者の所得から払うようにすると、不公平感のあるイメージは払拭されるのではないでしょうか。

とはいえ、制度の改革は口で言うほど簡単ではないことも、承知しています。戦後の先人達が、豊かな老後をおくる礎として作った年金制度を、単なる強制加入という位置づけではなく、より良い制度となるよう、考えてみてはいかがでしょうか。

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