保険年金
出産して育児休業期間が終わり、短時間就労者として会社に復帰した場合、給料は下がったのに支払う社会保険料は変わらない。
これは何かおかしいとは思いますよね!しかし、この場合手続きをすれば、下がった給料に対して社会保険料が引かれるという制度があります。
また、将来年金を受領するときには、出産前の金額の社会保険料を納めたこととなり、減額されることなく満額の年金をもらえます。
この記事では、短時間就労者として会社復帰した場合の社会保険料低減の特例制度について解説します。
2009年に定められた「育児短時間勤務制度」を言い規模の大小にかかわらず、事業主に義務付けられています。
その内容は、「3歳に満たない子を養育する労働者に関して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければならない」とするものです。
これにより、育児と仕事が両立できることになりました。
子供が生まれ時短勤務(パート)で働くと、一般的に給与は減るので支払う社会保険料も減ります。
その結果、将来貰う年金額も減ってしまいます。
しかし届け出をすることで、特例を受けられます。
即ち、「時短勤務の結果給料が減額され、社会保険料の支払いが減ってしまった場合でも、将来貰う年金額は時短前の給料を基に計算します。したがって将来貰う年金額は、減ることはない。」という制度です。
育児中の家庭としてはありがたい制度ですよね。
※標準報酬月額とは
会社員が勤務先から支払われる基本給に役付手当や通勤手当・残業手当などを加えた1ヵ月の総支給額を報酬月額といいます。
報酬月額を保険料額表の1等級32等級に分け、その等級に該当する金額のことを標準報酬月額といいます。
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定められた期間厚生年金を払っていた人で、3歳未満の子どもを時短勤務で育てている場合には、特例制度の対象になります。
この場合必ずしも子供が扶養に入っていなくてもよく、夫か妻かの別は問わないので、夫婦双方が対象になることもあり得ます。
なお、厚生年金基金を支払っていない人、出産前の給料から減額されていない人については対象外となります。
特例制度を受けるためには、「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「養育期間標準報酬月額特例申出書」の二つの書類を提出する必要があります。
それでは次にそれぞれの書類について解説します。
社会保険料は、4~6月に支給された標準報酬月額の平均で1年間の支払額が決まってきます。
したがって子供が生まれてパートとして会社復帰した場合でも、出産前の給料を基に計算されてしまうことに…。
そのため給料は下がったのに、差し引かれる社会保険料は以前と変わらないということになってしまいます。
しかし、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すれば、手続きをしてから4ヶ月目より、時短勤務後の給料に応じた社会保険料が差し引かれるようになります。
この特例を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
・出産のために会社を休む前の標準報酬月額と、会社復帰後の標準報酬月額との間に1等級以上の差があること。
・育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヵ月のうち、1ヵ月の支払基礎日数が17日以上であること。
通常時短勤務により納める社会保険料が減ることは、裏返せば将来貰う年金額も減ってしまうということになります。
しかし「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出することで、将来受け取れる年金額は、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取れます。
特例を受けるためには、勤務先の担当者にその旨を話し変更届と申出書を記入して提出します。
必要な書類は下記のとおりです。
・ 育児休業等終了時報酬月額変更届
・ 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書
・ 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書(申出者とこの生年月日・身分関係を証明できるもの)
・ 住民票(個人番号の記載がないもので申出者と子の同居を確認できるもの)
なお「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」の様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/menjo/20141203.html
手続きは、被保険者本人がする必要があり、対象となる期間は、3歳未満の子が養育開始月から3歳到達日の翌日の月の前月まで。
なお、この特例は2年間さかのぼって申請することができます。
この手続きを知らなかったという人は、申請が可能かどうか会社担当者に聞いてみましょう。
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育児休業等が終了し会社勤めに復帰する場合には、手続きを行えば出産前の金額の社会保険料を納めたこととなり、将来貰う年金額も減額なしで受給できます。
提出する書類は「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」で、勤務先経由で日本年金機構に提出します。
手続きは被保険者本人がする必要があるので、忘れずに提出するようにしましょう。
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