節税

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贈与・相続対策はお早めに-今後の税改正から考える-

贈与・相続対策はお早めに-今後の税改正から考える-

贈与・相続対策はお早めに-今後の税改正から考える-

昨年、税改正により贈与税と相続税の見直しがされると報じられていたのですが、贈与税・相続税の一体化は先送りとなりました。見直しの内容の1つに、贈与税の暦年課税制度の 在り方について相続発生から10年あるいは15年など、今よりはるかに長い期間の贈与を相続扱いとされるなどが盛り込まれており懸念されていました。

一旦は先送りとなりましたが、今後もこのような税改正は 検討されていくものと考えられます。贈与や相続対策はできるだけ早めに行っておく必要性が出てきました。

【INDEX】

■贈与・相続対策とは

■住宅取得等資金贈与の改正点

最後に


贈与・相続対策とは

以前にも記事「相続対策の基本とは」でお伝えさせていただきましたが、相続対策には大きく分けて3つの対策があります。1つは遺産分割対策、2つめは節税対策、そして3つめは納税対策です。

遺産をどのように分割して残していくのか、相続発生時に 相続人同士が揉めないよう法定相続割合等を意識しながら、 どの遺産を誰に継承すれば良いのかを考えていきます。
そして、少しでも相続税を少なくするよう、現金等から保険や不動産など控除等があるものに資産を組み替えたり、生前贈与で現金等をできるだけ贈与しておいたりといった節税対策をたてていきます。最終的に相続税が発生する場合は、 保険等で相続税を支払えるよう納税対策をしておくことも 必要です。

この2つめの節税対策で重要になってくるのが暦年贈与です。毎年110万円までが非課税で贈与することができるため、少しずつ贈与しておくことで相続財産を相続発生前に引き継いでおくことができました。現在はこの暦年贈与で贈与された財産でも、相続発生時から遡って3年以内の分については 相続財産と見なされています。

今回見送りとなった税改正案には、この3年以内というのを10年、15年等と長い期間で相続財産と見なされることが検討されていたのです。つまり、非課税で贈与できる期間が短くなってしまうことになります。


<例>イメージ
70歳暦年贈与スタート  →  85歳死亡(相続発生)
15年間、暦年贈与した場合
暦年贈与の対象:70歳~82歳までの12年間
相続税の対象:83歳~85歳までの3年間

税改正案(10年の場合)では
暦年贈与の対象:70歳~75歳までの5年間
相続税の対象:76歳~85歳までの10年間
(*実際の年齢や相続時により異なります)

イメージ例のように、12年間非課税で暦年贈与できていた 現在の制度から、5年間しか非課税で暦年贈与できなくなってしまうことになります。一旦、見送りとはなりましたが、 今後も改正案などは出てくると思いますので、今まで以上に早めに暦年贈与を活用しておく必要が出てきたのです。

住宅取得等資金贈与の改正点

大きな資産を非課税で継承できる、さまざまな資金贈与の 制度があります。しかし、こちらも年々、非課税の金額が 下がってきております。

住宅資金等の資金を非課税で贈与できる「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」ですが、昨年(令和3年)までは以下のような非課税限度額でした。一度に1,000万円や1,500万円などの資金を非課税で贈与できるのは贈与・相続対策には効果的でした。

<令和3年までの非課税限度額>
 
(参考URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

こちらは適用期限(令和3年12月31日)を令和5年12月31日まで2年延長されることになりました。非課税限度額は以下となります。
1.耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋1,000万円
2.上記以外の住宅用家屋500万円

(参考URL:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/04taikou_02.htm

昨年までと比べると非課税とされる金額が下がっておりますが、まとまった金額を非課税で継承できる制度です。贈与・相続対策の1つとして検討されると良いのではないでしょうか。

最後に

2020年からコロナウイルス感染拡大により、さまざまな活動が制限され、社会活動も制限されてきました。国の収益はもちろん減りましたので、これから、その穴埋めをしていかなくてはなりません。

国の収益を上げるには税金を上げることも、その1つです。
これまでの非課税制度は見直しがされ、より納める税金は高くなると予測されます。

現在ある制度を活用しながら、贈与・相続対策をたてて実行していく必要があります。何事にも言えますが対策は早め早めがお勧めです。暦年贈与の見直しや非課税限度額が下がる例をお伝えしましたが、そうなる前に少しでも対策を実行しておくと安心材料が増えると思います。

相続税が支払えずに相続放棄をしてしまい、大切な資産を 受け継ぐことができない場合も多々あります。遺された大切な資産を少しでも継承できるよう、できることからスタートされると良いのではないでしょうか。本記事も参考にして 頂き、今後の税改正についても着目して欲しいと思います。

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