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不動産売却の罠!「囲い込み」のリスクと対策を教えます!(後編)

不動産売却の罠!「囲い込み」のリスクと対策を教えます!(後編)

不動産売却の罠!「囲い込み」のリスクと対策を教えます!(後編)

前編の記事では、不動産の売却時に「囲い込み」が発生してしまう背景や原因について、ご説明しました。

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不動産売却の罠!「囲い込み」のリスクと対策を教えます!(前編)
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後編の本稿では、「囲い込み」に対する法令による規制、そしてご自身で行える自衛策をご紹介していきます。
多くの方にとって、不動産の売却は一生に何度もあるイベントではなく、その成否はその後の生活に大きく影響するはずです。
不動産売却の成功に、本稿が少しでも参考になれば幸いです。

■法令による「囲い込み」の規制はあるものの・・・

前編でご説明したように、不動産売却において「囲い込み」をされることは、売主・買主にはデメリットしかありません。
もし、売主が「囲い込み」に気付かないまま、必要以上に販売価格を下げることになれば、取引金額の大きな不動産売却において、その不利益は莫大な金額となってしまうでしょう。
こうした事態を規制する、一般人を保護する法令はないのでしょうか?
結論からいえば、法令による規制は存在します。
不動産業界の主たる業法の一つ、宅建業法では、「専任媒介契約では7営業日以内」「専属専任媒介契約では5営業日以内」にレインズ(Real Estate Information Network Systemのこと。不動産業者のみが閲覧できる情報サイトです)に登録することが規定されています。
レインズに登録することで、全国の不動産業者がその不動産の売却情報にアクセスできるようになるため、遅くとも7営業日以内には売却情報が公開されることを、法令が求めているわけです。
また、宅建業法以外でも、案件によっては「詐欺罪」「背任罪」などの刑事罰に問われることや、民事上の賠償責任を負うこともあるようで、決して法が「囲い込み」を許しているわけではありません。
しかし、処分を受けるリスクを承知でレインズに登録しない不動産業者もあれば、レインズに登録はするものの、いざ客付け業者から問い合わせがあっても、「商談中です」などと追い返す不動産業者もあります。
残念ながら、法令の規制は「囲い込み」への抑止力にはなっても、その根絶までは至っていないのが現実です。

■「囲い込み」への有効かつ実用的な対策とは!?

それでは、実際に不動産を売却するとなった際、どのように「囲い込み」を回避すればよいのでしょうか?
「自分の売却する不動産も囲い込みの対象になるかもしれない」という心構えの元、まずは売却の媒介契約を締結する際、以下のような対策を取りましょう。

①一般媒介契約も検討する
前編でご説明したように、「囲い込み」を成立させるには、売主との間で、売主が他の不動産業者に重ねて媒介契約を締結できない「専任契約」または「専属専任契約」を締結しておくことが前提となります。
売主が複数の不動産業者と媒介契約を締結できる「一般媒介契約」では、自社でいくら情報を囲い込んでも、他の不動産業者がレインズに登録したり、そのまま買い手を見つけて成約してしまう可能性があり、リスクに見合わないためです。
そのため、敢えて「一般媒介契約」を締結する、もしくは「一般媒介契約」の締結をほのめかして不動産業者の反応を窺うといったことは、「囲い込み」の対策として有効です。
もし、正当な理由なく「一般媒介契約」を強硬に拒否された場合、その不動産業者への警戒度を一段上げた方がよいかもしれません。

②売却の最低金額や売却期間を伝えておく
不動産業者がいくら「囲い込み」をしたところで、その不動産の売却が成立しなければ報酬を受け取ることができません。
「囲い込み」をすることで売却が難航することは不動産業者も当然承知していますから、予め売れない事態を想定して、「あとで売りやすい金額に値下げをしてもらおう」「最悪は提携している買取業者に引き取らせよう」などと作戦を立てているケースもあります。
これを逆手に取って、「この金額で売れなければ売却をやめます」「3ヵ月経って売れなければ違う不動産業者も試してみたいです」といったことを、それとなく伝えておくのも牽制になります。(但し、あまり露骨に伝えすぎると、その不動産業者の販売活動の意欲を削いでしまうこともあるため、伝え方には十分配慮する必要があります)

③レインズ登録の日にちについて確認する
前述したように、宅建業法による規制として、「専任媒介契約では7営業日以内」「専属専任媒介契約では5営業日以内」のレインズ登録は義務となっていますが、そのことを知っている一般人は少数派でしょう。
そのため、「レインズにはいつ頃登録予定ですか?」などと確認するだけでも、一定の抑止効果は期待できます。
続いて、媒介契約を締結した後、「囲い込み」を疑うポイントについてもご説明しておきましょう。

④問い合わせ元を確認する
実際に問い合わせがあった際、その買い手が自社のお客様なのか、客付け業者のお客様なのかを確認しましょう。
もし、元付業者のお客様ばかりが不自然に続くようであれば、警戒度を一段上げるべきでしょう。(もっとも、元付業者が精力的に販売活動をしてくれた結果ということもあるため、その点は十分ご注意ください)
また、相場並みの売却条件にもかかわらず、問い合わせが全くない状況であれば、やはり「囲い込み」の可能性も疑うべきといえます。

⑤不動産ポータルサイトの掲載を確認する
前述したように、一定期間内のレインズへの情報登録は義務化されていますが、一般の方が目にする不動産ポータルサイトへの情報掲載は、その不動産業者の任意です。
そのため、一般人にも有名な不動産ポータルサイトなどに売却情報が掲載されていれば、元付業者が情報をしっかり一般公開するスタンスであることが伺えます。
また、客付け業者が不動産ポータルサイトに売却中の不動産を掲載している場合、その情報元はレインズであることが多いため、元付業者がしっかりレインズ登録してくれたことが推認できることになります。
逆に、インターネット検索で全く売却情報がヒットしない場合や、元付業者の公式サイトでしか情報掲載が確認できない場合には、やはり警戒度を上げるべきでしょう。

いかがでしたでしょうか。

「囲い込み」を立証するには、どこかの客付け業者から、実際に元付業者に問い合わせをしてもらうしかありませんが、それをせずとも、ここでご紹介したポイントを押さえることで、不動産業者への牽制になりますし、万一「囲い込み」をされたとしても、それを疑うきっかけとなります。
くれぐれも、不動産の売却にあたっては、「囲い込み」にご注意ください。

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