資産運用

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住宅ローンの繰り上げ返済をする前に考えるべきこと!

住宅ローンの繰り上げ返済をする前に考えるべきこと!

住宅ローンの繰り上げ返済をする前に考えるべきこと!

住宅を購入する際、多くの方は住宅ローンを利用します。
実際、一般の方にとって住宅ローンほど好条件で借入できる金融商品は、ほかに見当たりません。
原則として購入する住宅以外の担保提供は不要であるにもかかわらず、数千万円規模の大きな金額を最長35年の長期間で借入できるうえ、近年ではその借入金利は1%を大きく割り込むことも珍しくなくなりました。
さらに、政策として推し進められている住宅ローン控除を活用することで(※)、借入から10年間前後(最長13年間)については、支払金利以上に税還付を受けられることもあるという、極めて利用者に有利な金融商品となっているのです。

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※令和4年以降の住宅ローン控除については、こちらの記事も参考にしてください。
 住宅ローン控除が改悪!? 噂の根拠と見通しについて
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しかし、せっかく特別有利な条件で借入できた住宅ローンに対して、積極的な繰り上げ返済を考える方は少なくありません。
「低金利だろうが金利を支払うのは勿体ない!」という理由に加えて、「将来的な金利上昇リスクに備えたい!」といった理由を挙げる方も少なくありません。
特に後者の理由については、近年では圧倒的に多くの方が変動金利を選ぶ状況も影響していると思われます。
住宅金融支援機構の調査(※)によれば、実に68.1%の方が変動金利を選択しているそうです。

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※住宅金融支援機構による調査
 住宅ローン利用者調査(2021年 4月調査)
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もちろん、私としても、住宅ローンの繰り上げ返済を完全に否定するつもりはありませんが、一方で“勿体ない”と感じていることも事実です。
本稿では、住宅ローンの繰り上げ返済について、FPの私が日ごろから感じていることを書かせていただきます。

■繰り上げ返済の効果と2つの方法

繰り上げ返済の効果は、その返済額がそのまま借入元本に充てられることで、借入元本を基準に計算される支払金利を低減させることにあります。
また、繰り上げ返済の方法には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
「期間短縮型」とは、月々の返済額は変えずに返済期間を短くする方法で、最終的な支払金利の総額は「返済額軽減型」よりも小さくなるものの、返済額は変わらないため、繰り上げ返済の効果は完済時点まで実感できません。
その一方、「返済額軽減型」とは返済期間はそのままで月々の返済額を減らす方法で、すぐに返済額が減るため、繰り上げ返済の効果を即実感できる一方、最終的な支払金利の総額は「期間短縮型」よりも大きくなります。
どちらの方法を選ぶにしても、支払金利の総額が減る点においては間違いありません。
いくら住宅ローンが低金利とはいえ、ほとんどの金融機関の預金金利はさらに低金利で利息はほとんど付きませんから、なるほど手元に余剰資金ができたのであれば、積極的に繰り上げ返済をしようという考え方は合理的といえる一面はあります。

■住宅ローンの繰り上げ返済はおススメできない!?

しかし、それでも、私としては積極的には繰り上げ返済をおススメする気になれません。
主な理由は以下3点です。

<理由①>家計の資金繰り

いまの低金利の状況下では、「期間短縮型」「返済額軽減型」のいずれにおいても、繰り上げ返済の金額に対して、その効果は限定的です。
一方で、繰り上げ返済をすることで、手元の余剰資金(現金)は、「いま」無くなってしまいますし、後から繰り上げ返済を取り消すこともできません。
特に、コツコツ貯めてきた現金の大半を繰り上げ返済に充てるようなケースでは要注意で、繰り上げ返済して間もないうちに、何らかの理由で毎月の家計収入が減ってしまう(あるいは家計支出が増えてしまう)場合や、何らかの事情で纏まった現金が必要になった場合も想定しておくべきでしょう。
もし、手元に残った現金で不足となった場合、マイカーローンや教育ローンなどを利用する手段もありますが、それらは一般に住宅ローンよりも高い金利・短い借入期間が設定されています。
特別好条件の住宅ローンを繰り上げ返済した結果、それよりも劣る条件で結局借入を起こすことになっては本末転倒です。
出産・育児による配偶者の退職や収入減、家族の介護など、将来的に現金が必要になるシーンは意外と少なくありませんので、慎重に判断するようにしましょう。

<理由②>住宅ローン控除

住宅ローン控除の上限は、「年末の住宅ローン残高(上限4000万円)の最大1%」です。(適用時期などによる特例等を除く)
ということは、繰り上げ返済をすることで住宅ローン控除の上限を割り込む場合、少なくとも損得勘定だけでいえば、支払金利の低減効果と、住宅ローン控除の税還付額の減少効果の天秤ということになります。
近年の住宅ローン金利は1%を大きく割り込むケースが多いため、繰り上げ返済の効果が勝るケースは多くないはずです。

<理由③>余剰資金は運用がおススメ!

繰り返しにはなりますが、近年の住宅ローンは他に見当たらないほどに利用者に有利な条件となっています。
それであれば、家計の余剰資金は繰り上げ返済には回さず、資産運用に回すことも是非ご検討いただきたいと思います。
住宅ローンの低金利を考えれば、繰り上げ返済による支払金利の低減効果以上の運用成果を期待することはそれほど難しくありませんし、換金性の高い資産(上場株式など)を中心に運用すれば、家計の有事や今後の金利上昇に備えることもできます。

いかがでしたでしょうか。
もちろん、最終的には個人の価値観、損得についても結果論ですから、「繰り上げ返済はすべきでない!」とまで断じるつもりはありません。
しかし、家計の資金繰りや住宅ローン控除、資産運用を始める(拡大する)選択肢なども是非検討いただき、そのうえで最適な判断をしていただければと思います。

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