資産運用

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民泊事業がうまくいかない場合の対処法

民泊事業がうまくいかない場合の対処法

民泊事業がうまくいかない場合の対処法

前回の記事では、「体験型民泊施設」や「ワーキングスペースの拠点」といった、条件が悪化しても利益を出す方法についてご紹介しました。
しかし現実的に民泊事業の継続が厳しくなってきた場合、まずは補助金などを利用して、状況を立て直そうとする人がほとんどでしょう。またどうしても立て直しが困難であれば、思い切って物件を売却し、新しい事業に挑戦するのもひとつの方法です。
いずれにせよ、ムリして民泊を続けて再起ができない状態まで引っ張るのだけは、なんとしても回避しなければなりません。
最終回となる今回は、民泊事業がうまくいかない場合の対処法について、補助金と売却という2つの側面から解説していきます。
   

民泊事業で利用できる主な補助金一覧

民泊事業で困ったときは、なんといっても、国や地方自治体の「補助金制度」が大きな助けになります。融資を受ける方法もありますが、経営が悪化している状況では、なかなか融資は許可されないのが現実です。
また当たり前の話ですが、借りたお金は利子をつけて返済する必要があります。しかし補助金なら、原則返済は不要です。今回は国の補助制度を3つ紹介しますので、該当するものがあれば、ぜひ活用していきましょう。

•    厚生労働省「雇用調整助成金」
•    経済産業省・中小企業庁「事業再構築補助金」
•    観光庁事業者向け補助金

ひとつずつ概要をご紹介します。

 

 厚生労働省「雇用調整助成金」(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

新型コロナウイルス感染症の影響により、従業員の雇用調整をする場合、休業手当などの一部を「雇用調整助成金」が補助してくれます。
通常の雇用調整助成金よりも、特例では「上限額と助成率」が大幅に引き上げられているので、該当する場合はぜひ積極的に利用したいところです。
上図のとおり、判定日の初日が5月以降の場合は、以下のような特典があります。

•    中小企業への助成額上限:8,370円 → 13,500円
•    中小企業への助成率:通常2/3 → 9/10(雇用継続の場合)

ただし、通常の雇用調整助成金と違い、特例の該当期間は2021年6月までとなっています。6月の時点で7月までの延長は確定していますが、8月以降については未定です。これから当制度の利用を検討している方は、随時ホームページを確認してください。

※参考:厚生労働省「雇用調整助成金」(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
 

経済産業省・中小企業庁「事業再構築補助金」 

外国からのインバウンド需要がほぼ期待できない今、国内にターゲットを変更して、業務の大幅転換を検討している方も少なからずいらっしゃるはずです。であれば、「事業再構築補助金」が、大きく役立つかもしれません。
事業再構築補助金は、コロナ関連で当面の売上が見込めない企業を対象に、100万円から最大6,000万円(中小企業通常枠の場合)の補助金を支給する制度です。
また上図のように緊急事態宣言特別枠も用意されていますので、採択されれば、上限額と補助率がアップした条件下で補助が受けられます。
建物や客室の大改修あるいはマンスリー宿泊への方向転換など、民泊事業者にとって、方向修正を施す大きなチャンスになるでしょう。

※参考:経済産業省・中小企業庁「事業再構築補助金」

 

観光庁事業者向け補助金「宿泊事業者による感染防止対策等への支援」

ここまで紹介した2つの補助金と違い、観光庁の事業者向け補助金は、常時募集しているものではありません。そのため定期的に観光庁の広報をチェックしながら、民泊事業に該当する補助金が制定されたら、その都度申請してみるというスタイルになるかと思います。
2021年6月現在、民泊事業で利用できる観光庁の補助金は、「宿泊事業者による感染防止対策等への支援」があげられます。
体温を測定するサーモグラフィや専門家への相談料など、感染症対策にかかる費用に対して、最大事業費の1/2まで補助が可能。また感染症対策に関する備品の購入だけでなく、ワーケーションスペースの設置や、非接触チェックインシステムの導入なども補助の対象になります。
感染対策を強化したい方は、ぜひ検討してみてください。

※参考:観光庁事業者向け補助金「宿泊事業者による感染防止対策等への支援」

 

利益が出せないなら、思い切って売却もアリ

これまでの記事で説明したように、現在の厳しい状況下においても、民泊事業を継続するのは十分に可能です。
とはいえ、どうしても経営がうまくいかないこともあるでしょう。あるいは、自宅の一部を民泊に利用しているケースでは、転勤やUターンなどの理由で引っ越しを余儀なくされることも考えられます。
そういった場合は、思い切って物件を売却するのもひとつの方法です。どうしても民泊を継続したいなら、転居先の自宅で、あらためて仕切り直せばいいのですから。
ただし物件の売却には、不動産仲介業者への手数料や譲渡所得税など、想像以上のコストがかかるものです。ちなみに2,000万円で売却した場合の仲介手数料は、726,000円(税込み)もかかります。
さらに一言で不動産仲介業者といっても、民泊物件の売買に不慣れな業者も少なくありません。できるだけ民泊物件の実績がある業者を選び、損のないように売却を成功させてください。

まとめ

これまで6回に渡り、民泊事業の現状と将来について、解説してきました。
長期化する新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで民泊のメインターゲットであった外国人観光客の需要は、もはや全滅といってもおかしくない状態です。
正直に言って、新型コロナウイルス感染症の影響が完全に終息するまでは、民泊事業にとってかなり厳しい状況が続くでしょう。実際、民泊事業に見切りをつけ、廃業を選ぶ事業者は大幅に増加しているのが現実です。
しかし世界最大の民泊仲介業者「Airbnb」のように、近場の旅行やワーキングスペースの拠点にターゲットを変更し、こういった危機的状況を乗り切りつつある動きも見られます。
これからは、遠出ではなく「近場での長期滞在」が、間違いなく大きなトレンドになります。私たち日本の民泊事業者は、アメリカのように「国内需要」をもっと貪欲に取り込んでいくべきです。
また、いずれ時がくれば、必ずインバウンド需要は大きく回復します。そういった時期を見据え、ぜひ新しい民泊の形で、現状を打破していきましょう。

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