資産運用

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「最高値」なのに増えていない。相場のニュースと自分の資産を切り分ける五つの見方

「最高値」なのに増えていない。相場のニュースと自分の資産を切り分ける五つの見方

「最高値」なのに増えていない。相場のニュースと自分の資産を切り分ける五つの見方

株価が史上最高値を更新した、というニュースが流れた日に、自分の口座を開いてみたら思ったほど増えていなかった。新しいNISAで投資信託や株を持ち始めた方から、この手の話をよく聞くようになりました。

ニュースが伝える「最高値」と、自分の資産の増減は、そもそも別のものを測っています。そのズレの正体を知っておくと、相場が大きく動いた日に落ち着いていられます。知らないままだと、上がったときに焦って買い、下がったときに慌てて売る、という一番損をしやすい行動に出てしまいます。

「最高値」が指しているのは、市場のごく一部です

日経平均株価は、東証に上場している企業のうち225社を選んで計算した指数です。東証全体では3,800社あまりが上場しており、そのうち最上位のプライム市場にあるのが1,500社あまり。日経平均はそこからさらに225社を抜き出した数字だということになります。

さらに知っておきたいのが、日経平均が「株価平均型」と呼ばれる計算方法をとっている点です。時価総額、つまり会社の規模で重みづけするのではなく、原則として1株あたりの株価が高い銘柄ほど指数を大きく動かします。会社の大きさと、指数への影響力が比例していないのです。なお、一部の銘柄については影響が偏りすぎないよう、株価を割り引いて計算する係数がかけられています。

指数の構成データを集計した分析によれば、2025年11月末時点で上位4銘柄が指数全体の33.1%を占め、上位15銘柄で50%を超えていました。2019年12月末の上位4銘柄は21.0%でしたから、この数年で偏りがかなり強まったことになります。225社の平均のように見えて、実際には十数社の動きでほとんどが決まる。そういう状態がこの数年続いています。

実際、2026年8月27日の相場では、日経平均の下げ幅が130円ほどだったのに対して、上位2銘柄だけで指数を約309円分押し下げていました。残る223銘柄の寄与を合計すると、差し引き180円ほど指数を押し上げていた計算になります。それでも指数はマイナスで終わる。大きい数社が下げると全体の数字がそちらに引っ張られる、という構造です。

ですから「最高値なのに自分の資産が増えない」のは、当然といえば当然のことです。あなたが持っている投資信託の中身が、指数の上位に偏っている数社と同じ構成であるほうがむしろ珍しい。指数は市場の空気を測る温度計としては便利ですが、自分の成績表ではありません。

下がった日に最初にやることは、売り買いを決めることではありません

相場が急に下がると、多くの人が「今売るべきか、それとも買い増すべきか」をいきなり考え始めます。ここが分かれ目です。値段が下がったという事実だけからは、売る理由も買う理由も出てきません。

先に確かめるべきは、なぜ下がったのかという原因のほうです。原因は大きく二つに分かれます。ひとつは、投資先の企業や国の稼ぐ力そのものが落ちた場合。もうひとつは、稼ぐ力は変わっていないのに、相場の外側の事情で値段だけが揺れた場合です。

地政学的な緊張や、政治日程をめぐる思惑で相場が下がるのは後者にあたります。企業が作っているもの、売れている量、来期の受注、そのどれも昨日と変わっていない。変わったのは値札だけです。この場合、慌てて売ると、下がった値段で手放して、戻ったところを眺めるだけになります。

一方、前者であれば話は別です。主力事業の需要が構造的に減っている、価格競争に負けて利益率が落ち続けている、といった変化は値札ではなく中身の問題ですから、持ち続ける理由を作り直さなければなりません。

気をつけたいのは、「下がったから買う」も「下がったから売る」も、どちらも値動きだけで判断している点では同じだということです。判断の軸は値段ではなく、成長の期待が続いているかどうかに置く。この置き換えができると、ニュースの見出しに反応する回数が目に見えて減ります。

円に直した数字は、実力より少しよく見えることがあります

外国の株式や、それを組み入れた投資信託を持っている場合、円で表示された評価額は二つの要素が掛け合わさっています。現地通貨で見た株価の変化と、為替の変化です。

たとえば100万円を外国株の投資信託に入れていて、現地通貨ベースで5%値上がりし、その間に為替が1ドル150円から160円へ円安に進んだとします。円安の幅は約6.7%です。円建ての評価額は、100万円×1.05×(160÷150)でおよそ112万円。増え方は12.0%になります。

数字だけ見れば12%の上昇ですが、投資先が生み出した価値の増加は5%で、為替の動きによる分が約6.7%です。ここで二つを足しても12%にならないことに気づいた方は鋭いところを見ています。二つは足し算ではなく掛け算の関係にあり、値上がりした分にも円安が乗るため、合計は単純な足し算より少し大きくなります。いずれにせよ、この二つを分けずに見ていると、うまくいっている理由を取り違えます。そして為替は一方向に進み続けるものではありません。円高に振れれば、この上乗せ分は逆向きに効きます。

公募投資信託への資金流入額は、2026年上半期に12.5兆円と過去最高を記録し、そのうち外国株型が8.6兆円を占めたと集計されています。多くの家計が、意識するかどうかは別として、株式の値動きと為替の値動きを同時に抱えている状態です。

やるべきことは難しくありません。運用報告や証券会社の画面で、現地通貨ベースの騰落率が確認できるなら、円建ての数字と並べて見る癖をつける。それだけで、自分の資産が何によって増えたのかが見えるようになります。

「金利が上がった」を悪いニュースだと決めつけない

金利上昇という言葉には、どうしても身構えてしまう響きがあります。ただ、金利が上がること自体は、経済にとって悪い出来事とは限りません。

日本の長期金利、つまり10年物国債の利回りは、2026年8月に2.9%台まで上昇し、1996年以来の高い水準になりました。日銀がマイナス金利政策を解除した2024年3月の時点では0.74%でしたから、2年あまりで2.2%ポイントほど上がった計算です。政策金利のほうも1.00%まで引き上げられています。

ここで思い出しておきたいのは、金利がほとんどゼロだった期間のほうが、歴史的に見れば例外的だったということです。賃金が上がり、物価も上がる経済では、お金を貸すときの値段である金利も上がるのが自然な姿になります。

問題は、その上昇が「経済が正常に温まってきたから」なのか、「国の財政や貸し倒れが不安視されているから」なのかの区別です。同じ数字でも意味が正反対になります。見分ける手がかりのひとつが、銀行の株価です。銀行は預金を集めて貸し出す商売ですから、金利が上がると貸出金利と預金金利の差、いわゆる利ざやが広がって収益が改善します。ですから金利が上がるときに銀行株が買われているなら、市場は利ざやの改善が貸し倒れの増加を上回ると見ていることになります。逆に金利が上がるなかで銀行株が売られているなら、景気後退による貸し倒れの増加や、銀行が抱える国債の含み損のほうが重く意識されているサインです。2026年に入ってからの日本市場では、銀行業が業種別の上昇率で上位に顔を出す場面が見られます。

予想を当てにいくより、方向を確かめる

生成AIが身近になって、株価の予想をチャットで尋ねる人が増えました。ただ、明日の株価が上がるか下がるかという問いは、誰に聞いても、何を使っても当たりません。プロが出す目標株価も同じで、あれは当てるためというより、その会社をどう評価しているかを示すための数字です。

個人が確かめられて、しかも役に立つのは、業績が向かっている方向のほうです。企業は年度の初めに、その年の利益の見通しを発表します。そして多くの企業は、最初の見通しを控えめに置きます。だからこそ、年度の途中でその見通しを上向きに直した企業は、経営として手応えを持っていると読めます。

3月期決算の会社なら、4月から5月に前年度の実績と今年度の見通しが出て、8月に最初の四半期の決算が出ます。この8月の時点で早くも見通しを引き上げてくる会社は、まだ3か月しか経っていないのに数字を書き換えるだけの根拠を持っている、ということになります。投資信託を通じて分散して持っている方でも、月次のレポートで組入上位企業の業績が伸びているかどうかを追うだけで、値動きとは別の判断材料が手に入ります。

最後に

ここまで挙げた五つは、どれも「値段を見るのをやめて、値段の裏側にある数字を見る」という一点に集約されます。指数の中身、下がった原因、為替と株価の切り分け、金利上昇の意味、業績見通しの方向。どれも一日で身につくものではありませんが、順番に確かめる習慣がつくと、相場のニュースに一喜一憂する時間そのものが減っていきます。

そのうえで、ご自身の資産をどう組み立てるかは、年齢も収入も家族構成も違えば答えが変わります。どの資産にどれだけ置くのが自分に合っているのか、ここは一般論では決まりません。迷われている方は、一度立ち止まって、何のために増やそうとしているのかから整理してみてください。

※この記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の取得や売買を勧誘するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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