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26年度より取り締まり強化!自転車の歩道通行に“罰則”が!?
2026年4月からの道路交通法改正により、自転車の交通違反に対して「青切符(反則金)」を交付できる制度が導入される見通しとなりました。
とりわけ注目を集めているのが、「歩道通行の原則禁止」という点です。
たしかに、自転車は「車道走行が原則」とはいえ、現実には歩道通行が常態化している地域も少なくありません。「歩道の方が安全」「車道は怖い」といった感覚の中で、ある意味“黙認”されてきた側面もあります。
しかし、今回の法改正により、今後は「歩道を走るだけで反則金」という事態も想定され、SNSなどでは早くも「自転車ユーザーいじめでは?」「道路環境の整備が先だ」といった反発の声も上がっています。
本稿では、自転車の青切符制度が導入される背景と具体的な違反例について、分かりやすく解説していきます。
今回の制度改正の背景には、増え続ける自転車事故への懸念があります。
たとえば、内閣府の公表する「令和5年交通安全白書」によれば、直近5年間(平成30年~令和4年)に発生した自転車が関与する死亡・重傷事故では、安全運転義務違反が過半数、一時不停止、信号無視を含めると7割を超える割合となっています。(第1当事者の場合)
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【参考】内閣府『特集 自転車の安全利用の促進について』
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r05kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_1_1.html
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ここから、自転車による安全運転義務違反や法令違反が死亡・重症事故を実際に多く招いている現実や、警察による口頭指導や警告だけでは抑止力が限界に達していることが伺えます。
さらに、電動アシスト車やスポーツバイクの普及で平均速度が上がり、自転車走行によるリスクは、今後も増えることはあっても減ることはない、そうした背景が今回の法改正にはあったものと推測できます。
「青切符」とは、交通違反に対して警察官が交付する“反則告知書”の通称です。
所定の軽微な違反については、刑事手続きに進むことなく「反則金」を支払うことで行政的に処理が完結する点が特徴で、一般には自動車のスピード違反(30km/h未満の速度超過)や一時不停止などでお馴染みかもしれません。
これが自転車にも適用されるようになるのが、2026年4月からの法改正です。(悪質性が高く刑事罰が必要と判断される行為に対しては、これまで通り「赤切符」が交付され、刑事事件として扱われます)
報道によると、事前に警察庁が行ったパブリックコメントには相当数の賛否が集まったものの、結果的には原案どおりで決定したとのこと。
パブリックコメントに記載された、主な反則金の対象行為と金額は以下の通りです。
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<主な違反行為と反則金>
・携帯電話使用等(保持) :12,000円
・遮断踏切立入り :7,000円
・速度超過 :6,000円~12,000円
・通行区分違反(歩道通行) :6,000円
【出典】e-Gov パブリックコメント
『「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について』内、 『参考資料(自転車反則行為一覧)』より一部抜粋
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120250005&Mode=0
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とはいえ、今回の制度が“どの程度の違反に対して実際に適用されるのか”は、現時点ではまだ不透明です。
一部報道では、「歩道を走っただけで一律に罰金となるわけではない」との見方も発信されていますが、今後の運用方針や正確な基準については続報を待つ必要があるでしょう。
改めて今回の法改正で再確認しておきたいのは、「自転車も車両である」という基本原則です。
道路交通法上、自転車は軽車両に分類され、歩道ではなく車道を走ることが原則とされています。加えて、実際に自転車が原因となる死亡・重傷事故が一定数発生しているという現実を踏まえれば、「罰則による意識付けを強化する必要がある」という主張にも一理あります。
しかし一方で、現実には車道が狭く、交通量が多い道路が都市部を中心に数多く存在しており、自転車ユーザーが「安全のために歩道を選ばざるを得ない」ケースも少なくありません。歩道走行が常態化している背景には、単なるマナー違反やルール無視ではなく、「インフラ整備の遅れ」という構造的な問題があるのです。
そうしたなかで、「整備が追いついていないのに取り締まりだけが先行するのはおかしい」といった不満の声がSNSなどで相次いだのも当然でしょう。パブリックコメントでも類似の意見は多く寄せられていたと考えられますが、結果として原案はほぼそのまま通過し、制度が導入される運びとなりました。
つまり、制度そのものの理念や方向性に対してではなく、「ユーザー側の不安や現場の実情に十分に寄り添わず、唐突に制度化を進めたプロセス」にこそ、多くの反発が集まっているのです。
いかがでしょうか。
「歩道を走っただけで罰金」という印象が先行しがちな今回の制度改正ですが、そもそもは「自転車による事故の抑止」と「車両としての責任意識の向上」を狙ったものです。その目的自体が誤っているわけではなく、むしろ今後の交通安全のあり方を考えるうえでは重要な一歩といえるでしょう。
とはいえ、現時点では制度の運用方針や現場での判断基準は明らかになっておらず、今後どのようなケースで反則金が科されるのかについては、社会全体で引き続き注視していく必要があります。
大切なのは、制度に過剰に怯えるのではなく、利用者・行政・インフラ整備の各側面から、「誰もが安全に使える道路環境」を目指して、一人ひとりが意識を高めていくことかもしれません。
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