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高市首相が、物価高騰対策として「お米券」などの商品券を活用する案を検討していると報じられました。
現物支給に近い形で家計を下支えする――という狙いですが、そもそも商品券とはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。
私たちがよく目にする「JCBギフトカード」や「QUOカード」、あるいは自治体が発行する「プレミアム付き商品券」など、その形態はさまざまです。
表向きには“利用者がお得に使える仕組み”に見えますが、裏側では発行事業者・加盟店・行政の間で複雑なお金の流れが生まれています。
本稿では、商品券の代表的な仕組みとその“裏のビジネスモデル”、そして政策的な課題を整理していきます。
まず、最も一般的なのが「汎用型商品券」。
JCBギフトカードやVISAギフトカード、QUOカードなど、全国の多数の加盟店で使えるタイプです。
こうした商品券の発行者が利益を得る仕組みは、主に3つあります。
①加盟店手数料
利用者が商品券で支払いをすると、加盟店は発行会社に商品券を送って換金します。その際、発行会社は加盟店から「販売額の数%」を手数料として受け取ります。クレジットカードの決済手数料と同じ構造です。
②退蔵益(たいぞうえき)
有効期限が過ぎた、あるいは使われずに眠ったままの商品券の残高は、発行会社の利益になります。ギフトカード業界では発行額の数%程度が未使用のまま残るとされ、これが安定的な“隠れた収益源”です。
③広告収入
特にQUOカードのように、券面に企業広告やキャンペーンデザインを印刷できるタイプでは、広告費も大きな収入源です。ノベルティ需要の高まりにより、広告媒体としての商品券が再評価されているのはこのためです。
また、商品券の発行には「資金決済に関する法律(資金決済法)」による規制が設けられています。
発行残高が1,000万円を超える場合や、発行日から6か月以上有効期限がある場合などの所定条件を満たす商品券を発行する際には、財務局に発行届出を行い、残高の2分の1以上を供託(保全)する義務があります。
この供託金は、発行者が倒産した際に利用者への払い戻し原資として使われるもので、発行者は実質的に金融業に近い規律下で運営されていると言えます。
つまり、単なる“販促ツール”ではなく、法的には消費者保護を伴う金銭取引の一形態なのです。
次に、特定の業界や店舗でしか使えない「限定型商品券」について見てみましょう。百貨店商品券、家電量販店のギフトカード、旅行業界の旅行券などがこれに当たります。
このタイプでは、自社グループや特定業界の加盟店に流通を絞ることで、顧客を囲い込み、自社経済圏で消費を循環させる狙いがあります。販売時点で現金を受け取り、利用されるまでの間は企業側が資金を保有するため、資金運用面でもメリットがあります。
構造的には汎用型と同じく退蔵益や広告収入が発生しますが、加盟店手数料の比重は比較的小さい傾向があります。むしろ「囲い込みによる売上増」「販売促進」「キャッシュフロー改善」といった、マーケティング的利益が大きな目的です。
また、こうした流れは、近年では電子マネーやポイント経済にも波及しています。
紙の商品券が減少する一方、QRコード型やアプリ連携型の「地域電子マネー」「デジタルギフト」が急速に普及しています。印刷や流通コストを削減できる利点があるものの、システム維持費やデータ管理コストが発生するため、“配るコスト”の本質は依然として残るという指摘もあります。
近年、自治体による「プレミアム付き商品券」や「地域応援券」など、公的資金を使った商品券施策が全国的に広がっています。
しかし、こうした取り組みには根強い批判もあります。
ひとつはコストと透明性の問題。
商品券の印刷、システム開発、流通管理などには多額の経費がかかり、それらはすべて税金で賄われます。この点から「地元経済より特定の印刷業者・システムベンダーが潤うのでは?」との指摘もあります。
もうひとつは、政策的合理性の問題です。
商品券は現金給付に比べて「使途を限定できる」という長所を持つ一方、配布・管理コストを考慮すれば、再分配手段としての効率性には疑問も残ります。近年、SNSや一部報道では「配るくらいなら最初から税金を取るな」という指摘が目立つことからも、政策の実効性だけでなく“合理性”に対する国民の関心が高まっていることは疑いがありません。
いかがでしょうか
商品券は、見た目には「もらって嬉しい支援」ですが、裏では加盟店手数料・退蔵益・広告収入・供託金管理など、金融と流通の両側面を併せ持つビジネス構造を形成しています。
そして行政が関わる場合、その“配る仕組み”自体が新たなコストを生むことで、癒着や合理性に対する疑いや批判が集まりやすい傾向が顕著です。
高市政権が検討する「お米券」構想も、家計支援と産業支援の両面を持つ政策ではあるものの、こうした国民の不信感をどう払拭していくのか、その手腕が問われることになりそうです。
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