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「うちは関係ない」は危険!相続トラブルを防ぐための心得

「うちは関係ない」は危険!相続トラブルを防ぐための心得

「うちは関係ない」は危険!相続トラブルを防ぐための心得

「相続なんて、うちは財産がないし関係ない」

そんな声をよく耳にします。

しかしながら、相続トラブルは資産家だけの問題ではありません。

令和3年の司法統計によると、家庭裁判所に持ち込まれた相続案件のうち遺産総額が5,000万円以下のケースが約76%を占め、ごく普通の家庭こそ注意が必要なことが分かります。

 

起こってしまったあとではどうにもできませんが、大切なのは可能な限り「争続」を未然に防ぐための備え。

今回は、相続トラブルを防ぐための心得や家族を守るために知っておいた方が良いことをお伝えしていきます。

 

 

【INDEX】

■相続トラブルを防ぐための心得とは

■遺言書の書き方と注意点

■最後に

 

相続トラブルを防ぐための心得とは

 

「揉めるほどの財産はない」と安心していませんか?

実は財産が少ない家庭ほど相続トラブルに発展しやすかったりします。

 

例えば、現金300万円と実家の土地・建物を3人兄弟で相続する場合。

「現金は分けられるけど家はどうする?」「誰がどれだけもらう?」と、感情と損得が複雑に絡み合います。特に介護をした人、遠方で何もできなかった人など、立場によっても感じ方が異なり話し合いがこじれやすいのが現実です。

相続争いは金額の大小に関わらず、それぞれの相続人の思いや感情のズレから生まれるもの。

だからこそ事前の備えが必要と言えるでしょう。

 

■生前の家族会議がトラブルを防ぐ第一歩

相続対策を円滑に進めるカギは、親が元気なうちに家族で話し合いを行うことです。

とは言えいきなり相続の話を切り出すのはハードルが高いため、以下のようなテーマから話を進めるのも一つです。

 

・実家の今後についてどう考えているか

・介護が必要になったらどうして欲しいか

・お墓や法事について、今後どうするか決めておきたい

 

このように生活に直結するようなテーマを入り口にすると、自然に財産や相続の話にも繋げやすいですし、またエンディングノートの活用も効果的です。

資産のリストや希望などを記入することで家族が意思を汲み取りやすくなり、話し合いの土台になるでしょう。

 

■「名義が全て親のまま」は相続の落とし穴

実家や土地、預金などが全て親名義のままというケースは珍しくないですが、その場合は相続時に手続きが煩雑になる可能性があります。

 

特に不動産の場合、名義が亡くなった人のままでは売却や処分等ができません。

これまで任意だった相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料が科せられる規定があります。また義務化前の相続についても対象となり、それについては2027年3月末までに登記が必要となります。

 

相続登記については相続人全員の同意が必要となり、話し合いがうまくいかないと手続き自体が進まないことも少なくありません。

他にも故人の銀行口座については、銀行に相続の届けを出すと一時的に口座が凍結され、葬儀費用や病院代などの必要なお金を出金できなくなる可能性があります。

こうした事態に備えるためにも、生前贈与での資産移転や生命保険の加入、必要に応じて名義変更も検討しておきましょう。

 

■贈与は「とりあえず110万円」では不十分なことも

生前贈与については、贈与税の年間非課税枠である110万円を毎年贈与している人もいると思いますが、それだけでは相続対策に十分とは言えません。

 

2024年の税制改正により相続と贈与の一体課税が導入され、暦年贈与にて生前に贈与した分も一定期間遡って相続税の課税対象となります。

また新たに相続時精算課税制度では年間110万円までの非課税枠が新設され、非課税内で贈与した分は相続財産に足し戻さなくても良いとされています。

 

どちらの制度を使うかは状況にもよりますが、大切なのは贈与の目的とタイミング、そして使う制度を事前にしっかりと検討すること。

一時的な思い付きではなく、家族全体の資産計画としてプランニングすることが重要です。

 

遺言書の書き方と注意点

 

相続トラブルを回避する、有効な方法の一つが遺言書作成です。遺言書の有無によって、相続手続きの内容が大きく変わってきます。

 

■自筆証書遺言

費用がかからず、本人の手書きにて手軽に作成が可能。

ただし形式不備で無効になるリスクや、偽造・紛失のリスクがある。また発見時には家庭裁判所での検認が必要。

なお、自筆証書遺言書保管制度を活用して法務局での保管も可能。(法務局保管の場合は検認不要)

 

■公正証書遺言

公証人が公文書として作成・保管するため、法的にも安全。

偽装・紛失のリスクなし、検認不要。

自筆証書遺言と違い作成にコストがかかる。

 

「不動産を誰々に相続させたい」「介護をしてくれた家族に多めに渡したい」などの思いがある場合、遺言書によってはっきり意思表示をしておくことで後々の誤解や争いを防ぐことができます。

 

最後に

今回は、相続トラブルを防ぐための心得についてお伝えしました。

 

相続についてはいつか考えなければいけないと思っていても、どこか避けたくなるテーマかもしれません。

しかし何も決めないまま、決まらないままにその日を迎えることの方が家族にとっては大きな負担となります。

 

大切なのはお金の話だけでなく、家族を思う気持ち。

まずは話し合うことから、小さな一歩を踏み出してみましょう。

その際、本記事の内容もご参考頂ければ幸いです。

 

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