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FPと考える!家計見直しのコツ② ~支出(固定費)編~

FPと考える!家計見直しのコツ② ~支出(固定費)編~

FPと考える!家計見直しのコツ② ~支出(固定費)編~

前回の記事では、“家計の見直し“を考えるうえで土台となる家計管理の基本、即ち、家計のお金を「収入」「支出(固定費)」「支出(変動費)」の3つに分けて考えることについて解説しました。(未読の方は是非、前回の記事からご覧ください)

<前回の記事>
FPと考える!家計見直しのコツ① ~家計管理の基本編~

家計の見直しというと、外食やレジャー費、お小遣いなどの節約に意識が向きがちですが、これらはどうしてもストレスが溜まりがちで、長く続けることは難しいもの。
しかし、少し視点を変えるだけで、実はもっと簡単で、もっと効率的に家計を節約できる“コツ”があるのです。
シリーズ2回目となる本稿では、そうしたコツのうち、特に大きな効果が期待できる「支出(固定費)」について、その重要性と具体的な見直しのポイントをご説明します。

■「家計の見直しは、まず固定費から」の所以とは!?

本稿(本シリーズ)では専門性よりも、分かりやすさ・再現性を重視しています。
「支出(固定費)」についても、難しく考えず『ある程度決まった時期・金額で、毎月(または毎年)発生する支出』とざっくり考えてください。
前回の記事では以下のような具体例を挙げていました。

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<支出(固定費)の例>
・税金保険料(所得税、住民税、社会保険料)
・住居費(家賃、住宅ローン、火災・地震保険、固定資産税、建物管理費等)
・保険料(生命保険、がん保険等)
・養育費(学費、塾、習い事等)
・自動車維持費(マイカーローン、駐車場代、自動車保険料、車検代)
・お小遣い
・その他(奨学金返済等)
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「支出(固定費)」に共通する特徴として、一度支出が始まってしまうと、短期間のうちに自然に支出がなくなる(減る)ことはなく、長期間または半永久的に支出が続いてしまうという点があります。
たとえば、自動車を購入すると、その後の駐車場代や自動車保険料は自動車を手放すまで続きますし、塾や習い事も同様ですよね。
逆に言えば、あるタイミングで決断して自動車を手放したり、塾や習い事をやめたりすることで、その節約効果は長期間または半永久的に続くわけで、これが一般的に、「家計の見直しは、まず固定費から」と言われる所以です。
しかし、理屈はそうであっても、自動車の便利さを知ってしまうとなかなか手放す決断はできませんし、塾や習い事を減らしたりすることでお子様の将来に不安を感じてしまうこともあるでしょう。
固定費なら、なんでもかんでも見直せばよいということでは決してないのです。

■固定費の見直しのコツは、2つのパターンに分けて考えること!

「支出(固定費)」の見直しのコツは、2つのパターンに分けて整理することにあります。

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<固定費の見直しのコツ>
①支出に対するベネフィットについて、その質や価値を下げずに見直すこと
②同、まったく同じではなくとも、代替可能なものに見直すこと
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当然、①よりも②の方がメリットは大きいわけですが、手段が限られていたり、実行に手間や時間がかかったりすることもあります。

①だけ、②だけ、ではなく、①と②を組み合わせていくことが大切です。

では、①のパターンについて、具体例をご紹介しましょう。
まず検討すべきは「住宅ローン」、具体的には「金利の引き下げ」です。

多くのご家庭では、毎月の住宅ローン返済額は家計でもトップクラスの支出額となっているうえ、返済期間も最長35年間などの長期としているケースが多く、特に見直しの優先度は高いといえます。
近年の住宅ローン金利は歴史的な低水準にあり、ほんの数年~10年ほど前と比べてもその傾向は顕著です。まずは他の金融機関に住宅ローンを借り換えた場合の返済額を試算してみてください。

もし、今の返済額よりも下がるようであれば、それを材料に既存金融機関と金利交渉をするもよし、実際に借換えの検討をするもよしです。
金利引き下げや借換えによって自宅や預金が差し押さえられることはありませんので(借換え前の金融機関との関係は悪くなるかもしれませんが、その影響が深刻なケースは限定的でしょう)、それなりの手間や時間はかかるとしても、ひと頑張りするメリットは十分にあるはずです。

また、最近では住宅ローンの利用者に対して、グループ企業での優遇(スーパーや通信料金の割引など)を打ち出す金融機関も増えています。
そうした点も合わせて検討することで、見直しの幅はより広がることでしょう。

①のパターンでは、他に「NISA」「iDeCo」「ふるさと納税」などが有名です。

これらは上手に活用することで所得を引き下げ、節税という形で支出を減らすことができます。
「名前は聞いたことがあるけれど真剣に検討してはいなかった」という方も少なくないと思いますので、これを機に是非調べてみてはいかがでしょうか。

②のパターンは色々考えられますが、たとえば「タクシー・レンタカーの活用」を考えてみましょう。

過去1年くらいの自動車の活用シーンを振り返えってみて、大半が近場への移動であれば、仮に全てタクシー移動とした場合の料金と比較してみましょう。
あるいは少し遠方のディスカウントスーパーや郊外のアウトレットモールなどで纏め買いをする方であれば、遠出して割安に買えた金額と毎月の自動車の維持費を比較してもよいでしょう。
一概には言えないものの、著者への相談実績からは車の維持費に勝る合理性が出るほど、自動車を使っているご家庭はそれほど多くありません。(特に都心部では)
自動車は趣味やレジャーの側面もありますが、冷静にその必要性とコストを計算することで、代替手段への切り替えを検討してもよいと思えるかもしれません。
近年では、タクシーやレンタカー以外でも、カーシェアも飛躍的にサービスエリアが拡大し、より代替手段の選択肢は便利かつ豊富になっていますので、そうした点も合わせて調べてみることもお勧めです。

②のパターンでは、他に生命保険等の見直しも鉄板です。

保険は「将来の不測の事態への備え」であり、目先の節約のために見直すべきではありませんが、意外と多いのは、気付いていない保険内容の“重複”です。
たとえば、住宅ローンを組む際には、一般的に「団信(団体信用生命保険)」という、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度に加入しますが、金融機関によっては、死亡時だけでなく、所定条件を満たすガンや重大疾病にも保障範囲を広げるオプションが選べることもあります。
住宅ローンに付帯するそうした保険と既存の生命保険・がん保険の重複の有無や、重複があればそれが過剰なものでないか、見直してみるのはよいでしょう。

いかがでしょうか。

たしかに住宅ローンや保険を調べたり、自動車のコストを計算したりするよりも、毎月の外食やレジャーを我慢する方が短期的にはラクかもしれません。
しかし、固定費の見直しが上手くいけば、今後長期間に渡って家計の節約効果が生じますし、見直しの内容によっては以降のストレスやデメリットが何もないこともあるわけです。
是非、ご自身の家計を見つめ直し、無理なく固定費を節約できるポイントがないか、本稿を参考に探してみてください。

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