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FPと考える!家計見直しのコツ① ~家計管理の基本編~

FPと考える!家計見直しのコツ① ~家計管理の基本編~

FPと考える!家計見直しのコツ① ~家計管理の基本編~

新型コロナウィルスの感染拡大によって、残念ながら年収が下がってしまったという声をよく聞きます。
その一方、様々な要因が重なり合っての物価上昇はいよいよ顕在化しつつあり、「このままでは収入は減ったのに支出だけが増えてしまう」という苦しい声が目立つようになりました。

一部報道やSNSなどでは、背に腹は代えられないとして、外食やレジャー費、お小遣いなどの節約に取り組む方も増えているようです。
もちろん、なかにはそうした苦しい節約が避けられない場合もありますが、FPの立場としては、その前にもっと簡単で、もっと合理的な節約(節約というよりも、“家計の見直し”)の余地がないかを探ったほうがよいとも思うのです。

“家計の見直し”というと、「面倒だ」「難しい」「時間がない」といったアレルギー反応のある方もいますが、いくつかのコツを押さえればそれほど難しいものではありません。

ちょっとした考え方や行動のクセを見直すだけで、大きな効果が期待できるケースもあるので是非チャレンジしてほしいと思います。

本稿では、コロナ禍と物価上昇の今だからこそお伝えしたい、FPの目線からみた「家計見直し」のコツをシリーズでご説明していきます。
是非、それぞれのご家庭に当てはめて読み進めてください。


■家計見直しに必要なことは家計の管理!

家計の見直しをするには、当たり前ですが、日ごろから家計の管理をしていなければ出来ません。

家計管理というと途端に難しく感じてしまうかもしれませんが、全くそんなことはありません。

●家計に入るお金「収入」がいつ・いくら見込めるのか、家計から出ていくお金「支出」がいつ・いくら見込まれるのかを予測し、

●事前にその備えをすること

シンプルにいえばこれだけの話なのです。(その先には、資産を増やす意味での家計管理もありますが、それはまた別の機会に・・・)

シリーズ初回の本稿では、この家計管理の基本をテーマに説明していきます。


■家計管理における「収入」を整理する!

まずは、「収入」について整理していきます。

最初の家計管理では、1年間を一つのタームとして1ヵ月単位に、収入源とその予測額を一覧化する作業から始めるのがよいでしょう。

会社員の方であれば「給与(給料・賞与)」を、年金受給者の方であれば「公的年金」を主たる収入源としつつ、「副業の収入」「金融商品の配当・分配金」「家賃収入」「児童手当」「税還付(住宅ローン控除等)」といった副収入のあるケースも多いかもしれません。

以下にモデルケースを使った一覧化作業の実例を挙げます。

<モデルケースの設定>
・Aさん、Bさんの2人家計
・Aさんは、正社員で毎月の給料30万円、賞与50万円
・Aさんは、児童手当月額1万円支給の対象者(年4回)
・Aさんは、株式投資をしており、年に数回の配当を受け取っている
・Bさんは、パート勤務で毎月5万円(賞与なし)

<一覧化の実例>※5月・6月抜粋


この実例では2022年5月と6月の2ヵ月としましたが、実際に一覧化する際には、1年分(12ヵ月分)を作成してください。

また、後々は予測を実績と比較することになりますので、実績欄と予実差異欄も作っておくと便利です。(手書きの一覧でもよいですが、エクセルを使うと管理がラクなのでお勧めです)

ご自身の家計にはどんな種類の収入源があって、それらがいつ・いくらくらいの規模なのかを可視化しておくことが、家計管理の第一歩となります。

■家計管理における「支出(固定費)」を整理する!

続いては、「支出」について整理していきます。

「支出」の家計管理にはコツがあり、その性質によって「固定費」「変動費」に分けることを意識してください。(これが、後の“家計見直し”で効果を発揮します)

といっても、難しく考える必要はなく、以下のようにシンプルな整理でOKです。

---------------------------------------------------
●固定費
・・・ある程度決まった時期・金額で、毎月(または毎年)発生する支出

●変動費
・・・固定費以外の支出
---------------------------------------------------


まずは、「支出(固定費)」ですが、一般的な家計では以下のような支出が考えられます。

---------------------------------------------------
<支出(固定費)の例>
・税金保険料(所得税、住民税、社会保険料)
・住居費(家賃、住宅ローン、火災・地震保険、固定資産税、建物管理費等)
・保険料(生命保険、がん保険等)
・養育費(学費、塾、習い事等)
・自動車維持費(マイカーローン、駐車場代、自動車保険料、車検代)
・お小遣い
・その他(奨学金返済等)
---------------------------------------------------

支出の分類について、少し補足します。

●税金保険料
収入に対して生じる所得税・住民税と社会保険料の金額です。住宅や自動車の所有にかかる税金は別で計算するため、ここでは確定申告(会社員の方であれば給与明細や年末調整)に記載のある所得税・住民税と社会保険料が対象です。

●住居費
お住いが賃貸であれば、毎月の家賃が対象です。但し、更新料や保証料などが別に発生する場合は、1ヵ月あたりに割り戻した金額も対象に加えます。

持ち家であれば、毎月の住宅ローン返済(元本・利息合計)だけでなく、火災保険・地震保険・固定資産税等、住宅の所有によって生じる支出(1ヵ月あたりに割り戻した金額)の合計が対象です。持ち家が分譲マンションの場合、毎月支出する建物管理費・修繕積立金等も忘れずに加えましょう。

●保険料
生命保険・医療保険・がん保険など、住宅や自動車の所有にかかる保険以外の保険料が対象です。

●自動車維持費
マイカーローン・駐車場代など毎月かかる支出のほか、自動車保険料・車検整備代といった支出(1ヵ月あたりに割り戻した金額)の合計が対象です。


支出の一覧化は収入と比べて確認に時間がかかるかもしれませんが、固定費の把握は“家計見直し”にとても重要な工程です。

通帳やクレジットカード明細なども活用して、特に大きな金額の支出については漏れのないようしっかり確認しましょう。

■家計管理における「支出(変動費)」を整理する!

続いて、「支出(変動費)」です。一般的な家計では以下のような支出が考えられます。

---------------------------------------------------
<支出(変動費)の例>
・食費(日常の食材費・日用品費など)
・光熱費(水道・電気・ガスなど)
・通信費(電話・インターネットなど)
・娯楽費(旅行やレジャー費など)
・医療費(通院代・薬代など)
・資産運用、自己啓発費
・その他
---------------------------------------------------

変動費は、その名のとおり毎月の使用量によって金額が大きく変わったり、発生都度に支出が生じたりするため、固定費よりも一覧化しにくいかもしれませんが、その場合には年間合計額を12ヵ月で割り戻した金額とすればOKです。

また、住居費や食費など、“個人単位”ではなく“家計単位”で支出する項目も多いため、必ずしも収入のように個人単位に分類しなくてもよいでしょう。

先ほどの実例に支出のモデルケースを追加すると、以下のようになります。

<モデルケースの設定>
・Aさん、Bさんの2人家計
<固定費>
・税金保険料、住居費 :各年間120万円 ⇒各10万円/月
・自動車維持費 :年間60万円 ⇒5万円/月
<変動費>
・食費 :月5万円
・光熱費 :月1万円
・通信費 :月2万円
・娯楽費 :年間12万円 ⇒1万円/月
・医療費、その他 :各年間6万円 ⇒各0.5万円/月

<一覧化の実例>

シリーズ初回となる本稿では、“家計の見直し“を考えるうえで土台となる、家計管理の基本について解説しました。

最初は少し大変だと思いますが、一度家計管理の一覧を作ってしまえば、長きにわたって活用できますので、是非頑張ってください。


シリーズの続きでは、今回作成した一覧を使用した“家計の見直し“について解説していきますので、是非楽しみにしてください。
 

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