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現役大家が教える! 本当に危ない!? 定期借家契約とは!?

現役大家が教える! 本当に危ない!? 定期借家契約とは!?

現役大家が教える! 本当に危ない!? 定期借家契約とは!?

賃貸物件を探す際、やはり「少しでも安い家賃の部屋を探したい」、あるいは「同じ家賃ならもっと条件の良い部屋を探したい」と思う方は多いハズ。
そして、そうした目線で賃貸物件を探していると、「定期借家」「定期借家契約」という記載のある物件を見つけることがあるかもしれません。
「定期借家契約」とは、文字通りその賃貸物件を借りる期間を予め定めておく(取り決めておく)形の借家契約で、通常の借家契約(普通借家契約)に比べて、更新ができない点などリスク面が強調されて説明されることが少なくありません。
しかし、「定期借家契約」はしっかり特徴を理解したうえで活用すれば、実は大家さんにとっても、入居者さんにとっても、メリットのある契約なのです。
本稿では、「定期借家契約」とはなにか、そして入居者さんに知っていただきたい定期借家契約のメリット・デメリット(リスク)について、現役大家の実務目線からご説明していきます。


■そもそも、「定期借家契約」とはなにか!?

定期借家契約のメリット・デメリットをお伝えする前に、そもそも「定期借家契約」とはなにかついて、その生い立ちからご説明しておきましょう。
大家さんから賃貸物件(部屋)を借りて、入居者さんがそこで生活する権利を「借家権」と呼び、借地借家法という法律に詳しいルールが定められています。
借家権に関する契約は、現在は「普通借家契約」と「定期借家契約」があるのですが、もともとは「普通借家契約」しかありませんでした。
詳しくは割愛しますが、「普通借家契約」では入居者さんの権利は相当強く保護されています。
なかでも、「契約期間を1年以上としなければならない(1年未満の契約は期間の定めのない契約とする)」「正当な事由がない限り賃貸借契約の更新を拒むことはできない」という点は、転勤などによる一時的な空き家や、建て替えを控えた空き家などについて、大家さんが積極的に賃貸募集できない原因となってしまいました。
入居者さんの権利を守るための法律だったはずが、ルールが厳しすぎることで大家さんの賃貸募集のブレーキとなってしまい、結果として優良な賃貸物件が市場に供給されない事態を招いてしまったのです。

そこで、2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(概要)による借地借家法の一部改正が行われ、「定期借家契約」が認められることになりました。
こうした経緯から、定期借家契約は、「契約期間は1年未満でも可」「賃貸借契約の更新不可」といった特徴を持つことになったというわけです。
定期借家契約の特徴は、一見すると入居者さんの権利軽視にも見えるかもしれませんが、より高い目線で見れば、入居者さんにとっても、優良な賃貸物件が市場に供給される(少なくとも、賃貸物件の選択肢が増える)というメリットがある点は是非ご理解いただきたいところです。

しかし、そんな定期借家契約ですが、残念ながら現在のところ、一般の方にはほとんど認知も、利用もされていない実情があります。
令和3年に国土交通省より公表された『住宅市場動向調査について』によれば、令和2年時点では定期借家契約を知っている人(「名前だけは知っている」を除く)は12.5%にすぎず、利用者の割合も2.5%にとどまっているようです。

【出典】国土交通省『住宅市場動向調査について』


■定期借家契約のメリットとは!?

前述の調査結果からも、定期借家契約の利用が少ない理由として、そもそも定期借家契約を正しく理解している方が少ないという点が影響していると考えられます。
本稿読者の方には、正しく定期借家契約を知っていただくべく、ここからは入居者目線での定期借家契約のメリット・デメリットを見ていきましょう。

<<メリット>>

①本来は賃貸市場に出ないはずの物件を、候補に含めることができる。

→これは先ほどご説明したとおりです。特に、転勤等を理由とした賃貸募集であれば、いわゆる「分譲仕様」の豪華な内装・設備の部屋が、賃貸に出回ることもあります。


②相場よりも安い家賃・初期費用で借りることができる。

→大家側としては、普通借家契約では賃貸しにくい事情のある物件を定期借家契約で賃貸募集するわけですから、一般論として家賃や初期費用について条件交渉の余地は大きくなります。


③近隣住民トラブルのリスクが限定される。

→先ほどもお伝えしたとおり、普通借家契約では入居者さんの権利は相当手厚く保護されています。

しかし、これも良し悪しで、実は少々の家賃滞納や近隣トラブルがあったくらいでは、大家さんは不良入居者を強制退去させられないのです。
その不良入居者が普通借家契約の場合、更新を繰り返して半永久的にその部屋を占拠し続けることも考えられますが、定期借家契約であれば、少なくとも契約満了時の退去は約束されています。
特に、借りた部屋の上下階や隣人に、騒音などのトラブルを起こすような不良入居者がいた場合、入居者さんにとっても一定のリスクヘッジにはなります。
但し、このメリットは、マンション・アパートの一棟全てを同じ大家さんが所有するケースでないと発揮されませんので、その点は注意してください。(あなたの借りた部屋だけが定期借家契約であれば、不良入居者は更新を繰り返してしまう可能性は残ってしまいます)

■定期借家契約のデメリットとは!?

では、入居者目線での定期借家契約のデメリットはどういったものがあるでしょうか。

<<デメリット>>

①中途解約に制限が生じる

→期間を定める契約であることから、入居者さん側からの途中解約には一定の制限がかかります。

しかし、「200平方メートル以下の居住用借家で転勤・療養・介護その他のやむを得ない事情ある場合」には、途中解約できることになっており、一般の方が期間限定で居住用の部屋を借りるにあたっては、実質的な影響は限定的ともいえます。


②契約更新がない

→何度も書いている通り、これが最大のデメリットであることは間違いありません。

たとえば借りた当初は3年間で部屋を出るつもりが、住んでいる間に事情が変わって引越しをしたくないとなっても、契約が3年間であれば部屋を退去しなければなりません。

こうした不確定要素が大きい方は、定期借家契約には慎重になるべきだと思います。

但し、更新はできませんが、定期借家契約を「再契約」することは、大家さんと入居者さん、双方の合意があれば可能です。
特に、最近では大家さんとしても、入居者さんが問題を起こさないことを確認するために敢えて定期借家契約とするケースも増えており、賃料滞納などの契約違反や近隣トラブルなどがなければ原則再契約を考えている大家さんもいらっしゃいます。
そうした場合、入居者さんにとっても、定期借家契約のメリットを享受しつつ、更新できないデメリットも回避できる可能性があり、考え方によっては「お得」な賃貸物件になることもあるでしょう。

いかがでしたでしょうか。

定期借家契約を正しく知ることで、少なくとも一部で言われているような“入居者側にはデメリットしかない契約”というわけではないことは、ご理解いただけたのではないでしょうか。
定期借家契約の賃貸物件を見つけた際には、是非、ご自身にとってのメリットとデメリットを天秤にかけて判断してみてくださいね。

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