資産運用

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PMの外部委託では、「見えない」コストにもご注意!

PMの外部委託では、「見えない」コストにもご注意!

PMの外部委託では、「見えない」コストにもご注意!

いまや、専業大家さんと同じくらいに存在感を増しつつある、サラリーマン大家さん・公務員大家さん。

本業である、サラリーマン・公務員からの安定した給与収入を信用力として、次々と収益物件を買い増しする方も珍しくありません。

その一方、所有物件が増えてくると、本業が別にある大家さんにとって、日々の賃貸管理はなかなか負担が大きいもの。

賃貸管理には大きく分けて、建物全体の管理を指すBM(Building Management)と、入居者単位の管理を指すPM(Property Management)がありますが、一般に区分マンションでは、BMは建物管理会社(または管理組合)が行うため、大半の大家さんにとって、その負担は限定的です。(理事長・理事らに、負担と権限が集中するという別の問題はあるのですが)

しかし、PMは大家さんごとでの対応が原則のため、特に本業に忙しいサラリーマン大家さん・公務員大家さんを中心に、PMは外部委託が人気となっています。

本稿では、このPMの外部委託について、多くの方が誤解している注意点も交えつつ、ご説明していきます。

 

PMを外部委託する最大の理由は「有事への備え」

建物全体のBMの範囲には、日常清掃・ゴミ出しの管理、共用部分の植栽・備品の管理などはもとより、大規模修繕の計画立案も含みますので、相応に大変な業務であろうことは容易に想像が付きます。

しかし、入居者単位のPMであれば、一度入居者さんが決まれば、問い合わせやトラブルがない限り、それほど毎月の業務が大変というわけではありません。

ほとんどの月は入金確認のみということも珍しくないでしょう。

それでも、PMの外部委託が、特にサラリーマン大家さん・公務員大家さんを中心に、根強い人気があるのはなぜでしょうか。

PMを外部委託する最大の理由は、「有事への備え」だと考えます。

頻度は高くないとはいえ、賃貸経営をする以上、「滞納」「連絡難」「水漏れ」「設備故障」「近隣トラブル」などの発生は、決してゼロではありません。

たとえば、「滞納」「連絡難」となった場合、本人へのコンタクトは継続しながら、必要に応じて親族や連帯保証人とも連絡を取り、然るべき対応を検討しなければなりません。(対応が長期化することも多いものです)

また、「水漏れ」「設備故障」などであれば、緊急性を判断し、賃貸物件近くの工務店や職人さんなどと連携して、遅滞なく対応の手配を整えなければなりません。並行して保険申請の可否の見極めも必要でしょう。


その一方、本業が別にある大家さんの場合、常に入居者さんからの連絡が受らけれる体制・すぐに関係者に確認や依頼ができる体制には必ずしもなっていません。

情報漏洩対策として、執務室に携帯電話を持ち込めない職場も増えていますし(職場の直通電話番号を入居者さんに教える大家さんは少ないでしょう)、会議中・出張中に緊急対応が必要なトラブルが生じることもあります。

専業大家さんであればまだしも、本業に忙しいサラリーマン大家さん・公務員大家さんにとっては、有事の対応に追われて本業に支障を来たしてしまう、あるいは対応が遅くなって被害が拡大する事態にも繋がりかねません。

PMを外部委託することで、こうしたリスクと手間から解放されるというわけですね。

 

PM外部委託の「見える」コスト

では、PMの外部委託にかかるコストは、いくらくらいでしょうか。

一例として、東京の区分ワンルームの外部委託コストは、以下のような料金体系が多いようです。

①月額●●円
②月額家賃の▲%(下限金額の設定があることも多い)

私の知る限り、①については月額3,000円前後、②については月額家賃の3%~7%前後が、おおよその相場です。

ただし、「自社販売物件に限り月額1,000円」「空室保証・滞納保証・設備保証込み」とする管理会社もありますし、「売買の片手間で対応しておりPM受託の専任スタッフを置いていない」「入居者さんからの休日・夜間連絡に対応していない」代わりに格安料金とする管理会社もありますので、料金比較だけでなく、サービス内容も含めた検討が重要です。

いずれにせよ、「①月額料金」または「②月額家賃の割合」は、管理会社のホームページやカタログなどで金額が明示されており、外部委託における「見える」コストといえます。

 

PM外部委託の「見えない」コスト

その一方で、注意が必要なのは、PM外部委託の「見えない」コストです。

料金体系が明示されていることで、月額金額がそのままPM外部委託の総コストと誤解している方が多いのですが、実際には以下のようなケースで、大家さんが追加で外部委託費を支払っているケースが多いのです。

・退去都度の原状回復費
・その他修繕費全般

仮に、PMを外部委託せず自主管理とした場合、退去都度の原状回復工事や修繕工事は工務店などに発注する方が多いはずです。

しかし、実はPMを受託する管理会社も、多くの場合には提携する工務店などに実際の作業を再委託しています。

そして、往々にして、工務店からの請求金額そのままではなく、そこに管理会社の利益が加算された金額が、大家に請求されることとなります。

<自主管理>
 工務店の原価+工務店の利益
<PM外部委託>
 工務店の原価+工務店の利益+管理会社の利益

もちろん、管理会社としても工務店や大家さんとのやり取りにコストは生じているでしょうし、営利企業として利益を乗せて請求することは当然です。

本稿でお伝えしたいのは、そうした「見えない」コストを可視化したうえで、外部委託の是非を判断すべし、ということです。

たとえば以下のような条件だと、月額3,000円/戸だと思っていた外部委託コストは、実質的には月額3,556円/戸となり、実に約2割増しにもなります。

1戸・2戸ならともかく、纏まった戸数を外部委託するとなればバカにならない差額になりますね。

<前提>
・入居期間3年、原状回復工事15万円、その他修繕費5万円
・管理会社の利益は1割

<実際の外部委託コスト>
・(15万円+5万円)×0.1=2万円  ――3年間の追加コスト
・2万円÷36ヵ月≒556円  ――1ヵ月あたりの追加コスト

 

まとめ

・PMの外部委託は「有事への備え」として有効な選択肢。特に、大家業に専念できないサラリーマン大家さん・公務員大家さんにはメリット大!

・外部委託先選定にあたっては、料金だけでなくサービス内容も含めた検討が重要! 管理会社によってサービスの範囲やレベルには大きな差があることも!

・「見えない」コストも含めた総額で、外部委託のメリットと天秤にかけるべし!

 

 

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