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独禁法・電通法違反!?今度こそ、1円スマホ販売は終了!?

独禁法・電通法違反!?今度こそ、1円スマホ販売は終了!?

独禁法・電通法違反!?今度こそ、1円スマホ販売は終了!?

先日、1円スマホを巡る問題に関して、2つの新たな展開がありました。

1つは、公正取引委員会が、『採算を度外視した価格での販売は、独占禁止法上、問題になるおそれがある』として、1円スマホの販売に対して事実上の警告を行ったこと。

もう1つは、総務省が、『携帯大手が、(1円スマホを購入して)短期解約した人を機械的に契約拒否の「ブラックリスト」に入れることは違法になりうる』との見解を示したことです。

そもそも、1円スマホ販売を巡る問題は、総務省が「通信料金と端末代金の完全分離」を進めたことで解決に向かったはずでした。

それがなぜ、未だに1円スマホを巡って法令違反の疑いが生じる問題が起きているのでしょうか。

本稿では、1円スマホ販売に関するこれまでの経緯をおさらいしつつ、前述した新たな展開に関して分かりやすくご説明していきます。

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■1円スマホの販売規制を巡るこれまでの経緯

まずは、1円スマホ販売に関するこれまでの経緯をおさらいしておきましょう。

ほんの数年前まで、家電量販店やキャリアショップ等でのスマホ販売では、電話番号を維持したままキャリアを乗り換えるMNP(携帯番号ポータビリティ)や、2年の長期契約(いわゆる「二年縛り」)を条件に、端末代金や月額料金を大幅に値引きする販売手法が主流でした。

特に繁忙期ともなれば値引き競争は過熱し、販売店の指定条件をクリアすることで、数万円の最新スマホが1円で買えてしまったり、場合によっては数万円単位の高額なキャッシュバックが受けられたりといった事例も珍しくなかったのです。

しかし、こうした過剰な値引きの原資は、いわずもがなユーザーからの利用料金。

「頻繁にスマホを買い替える人」「このスキームに目を付けた転売屋」らに偏った恩恵をもたらし、それが利用料金の高止まり要因になっているとして、ついには総務省が、「通信料金と端末代金の完全分離」を打ち出し、回線契約をセットにした過剰な値引き販売や高額なMNP違約金を禁止するに至ります。

ところが・・・、これで1円スマホ販売は無くなったわけでなく、むしろその販売手法は更に巧妙化の道を辿ります。

いわば「新・1円スマホ販売」ともいえる現在の販売手法は、回線契約とは無関係な「スマホ端末の値引き」を建前に大幅な値引きを行い、総務省の禁止した「回線契約による値引きではない」という体裁をとっています。

例えば、ある人気スマホの端末代が10万円だったとします。

この場合、スマホ端末値引きを77,999円、回線契約による値引きを22,000円(総務省に許可された値引き上限額)とすることで、スマホ販売価格を1円にするわけです。(このあたりの事情について、詳しくは過去記事でご説明していますので、よろしければ本稿と合わせてご参照ください)
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<参考記事>
人気スマホの1円販売が復活!?値引きのカラクリを教えます!
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■1円スマホ販売は、より悪質になって継続されている!

当然ながら、「新・1円スマホ販売」における大幅な値引き原資も、元を正せばユーザーからの利用料金であり、総務省が目指した「通信料金と端末代金の完全分離」の精神とは程遠いものです。
さらに、「新・1円スマホ販売」には致命的な問題点がありました。

それは、本当に回線契約を伴わないスマホ端末購入希望者が現れた場合、キャリアから回線契約のインセンティブが入らない販売店が大赤字になってしまう点です。

これに対して、一部の販売店は「契約拒否」「二重料金」などの対策を取ったようです。

総務省の報告資料(※)からも、『・・・(前略)22000円と記載あったにも関わらず、機種変更の場合は定価の約65000円頂きます。と言われました・・・(後略)』『・・・(前略)在庫はあるが、ここでは販売するための機械がないため、端末のみの販売ができないとの回答だった。』『「単体購入の手続きには時間がかかり、当日中は枠が全て埋まっているために販売できない。・・・(中略)・・・回線契約とセットの販売は受け付けている。」といった旨の案内を受けた。』といった通報が多く寄せられていることが分かります。
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<参考>
令和5年2月28日 総務省 事務局
『「携帯電話販売代理店に関する情報提供窓口」等に寄せられた情報及び短期解約に関する役務提供義務の考え方について』
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全ての販売店がこうした悪質な販売をしているわけではないのでしょうし、転売屋対策としての側面もあるのでしょうが、それでも一般ユーザーに対する“騙し討ち“のような事例が多数発生していることを鑑みれば、「新・1円スマホ販売」は以前の販売手法よりむしろ悪化したと見ることもできるでしょう。

いずれにせよ、事実上の1円スマホ販売の継続であることは明らかで、冒頭に記載した公正取引委員会からの指摘も当然の話といえます。


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■キャリアの契約拒否は違法!背景にはやはり1円スマホ販売が・・・

もう1点、これは販売店というよりも、キャリア側が困る問題として、総務省が高額なMNP違約金を禁止したことで、1円スマホを購入した人であっても、短期間のうちにMNPしやくすくなった事情がありました。

販売店が1円スマホを販売するのは、回線契約を獲得することでキャリアから高額なインセンティブ等が貰えるからですが、それを支払うキャリアは回線契約の利用料金から原資を回収し、利益を上げることを目論んでいます。

そのため、キャリアにとって、1円スマホを販売したのに短期間でMNP(解約)されると、採算が合わなくなり具合が悪いわけです。(そもそも、禁止された1円スマホ販売を実質的に継続しているからこそ生じる問題なわけですが・・・)

そこで、キャリアや販売店が行った対策は、『短期間で解約すると、ブラックリストに入り、様々な不利益が生じる』といった暗黙の了解を案内するといったもの。

さらに質の悪いことに、前述の総務省の報告資料によると、『・・・(前略)、短期解約者扱いでブラックリストに載っているといわれ契約できなかった。』などの通報が実際に寄せられており、こうした案内はただの“脅し”ではない模様なのです。

せっかくMNPの高額な違約金がなくなっても、これでは事実上の契約の“縛り”は残るばかりか、ユーザーの受ける不利益はむしろ大きくなったともいえます。

冒頭に記載した総務省の見解はこうした事情を受けてのもの。

キャリア(MNO)は、いずれも認定電気通信事業者であり、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第121条第1項の規定では、『「正当な理由」がない限り、役務提供を拒否することができない』とされています。

総務省はこの規定を援用して、『MNOにおいて、「短期解約を行ったことがある」ことのみを理由として役務提供拒否をすることは電気通信事業法第121条第1項に違反し、業務改善命令の対象となり得る。』との見解を出すに至ったというわけです。

いかがでしょうか。

こうした指摘を受けてか、本稿を執筆している2023年3月上旬現在、販売店での値引き販売は例年に比べて、かなり控えめなものとなっているようです。
このまま1円スマホ販売は終了に向かうのか、キャリアや販売店が新たな1円スマホ販売の手法を編み出すのか・・・。
なんにせよ、いちユーザーとしては、健全で公正な取引環境の実現を願うばかりです。

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