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医療費控除とセルフメディケーション税制の違いとは?それぞれの仕組みを理解して賢く活用しよう

医療費控除とセルフメディケーション税制の違いとは?それぞれの仕組みを理解して賢く活用しよう

医療費控除とセルフメディケーション税制の違いとは?それぞれの仕組みを理解して賢く活用しよう

私たちが日々様々な形で支払っている税金は、その性質や納付方法などによっていくつかの種類に分類することができます。まず誰が課税をするのかという面で国税と地方税に分けられ、納付方法の違いにより直接税(税金を納める本人が直接自分で納める)と間接税(税金を負担する人と納める人が異なる)に分けることができます。

税金の種類により税率や計算方法は異なりますが、その中でも今回着目する「所得税」は国税の直接税として最も身近な税金の一つです。
所得税というと1/1から12/31までの1年間の所得に対して課税される税金で、サラリーマンの人は毎月のお給料からの源泉徴収、フリーランスや個人事業主の人は確定申告により納めるのが一般的でしょう。

所得税を計算する際、各所得を合算して「総所得金額」を計算しますが、それにそのまま税率をかけるのではなく「所得控除」といって所得を少なくすることができる制度があります。所得控除は全部で15種類ほどありますが、今回はその中でも「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」について、仕組みやそれぞれの違いを見ていきましょう。

どちらも年末調整では還付を受けられず、普段源泉徴収のみのサラリーマンの人でも確定申告が必要になるところがポイントです。

【INDEX】

■医療費控除とは

■セルフメディケーション税制とは

最後に


医療費控除とは

医療費控除とは、確定申告をする本人と生計を同一にしている配偶者やその他親族が、1/1から12/31までの1年間に支払った医療費について一定金額を超えた場合に税金の一部が戻ってくる制度です。(未払いの医療費については、実際に支払った年の医療費として医療費控除の対象となります)


医療費控除の金額は次の式で計算した金額で、最大200万円まで控除することができます。

◇ 総所得金額等が200万円以上の人
1年間に実際に支払った医療費の総額 ― 保険などで補填される金額 ― 10万円 = 医療費控除の金額

◇ 総所得金額等が200万円未満の人
1年間に実際に支払った医療費の総額 ― 保険などで補填される金額 ― 総所得金額の5% = 医療費控除の金額
※保険などで補填される金額…医療保険金、入院給付金、出産一時金、高額療養費など


また医療費控除の対象となるもの、ならないものには以下のようなものがあり、一般的に支出される水準を著しく超えない部分での金額とされています。

◇ 医療費控除の対象となるもの
○医師または歯科医師による診療費、治療費(出産費用も含む)
○先進医療の技術費(公的医療保険の対象外だが医療費控除は対象となる)
○治療または療養に必要な薬代
○治療のためのマッサージ代、はり師、きゅう師による施術代
○入院費
○視力回復レーザー手術(レーシック手術)費用
○不正咬合の歯列矯正等
○通院や入院のための交通費
○診療や療養を受けるための医療用器具(義手、松葉杖、補聴器など)の購入費
※国税庁「医療費控除の対象となる医療費」より一部抜粋


◇ 医療費控除の対象とならないもの
×美容整形の費用
×人間ドッグ、健康診断の費用(ただし重大な疾病が見つかり治療を行った場合は控除の対象)
×病気予防、健康増進などのための医薬品代や健康食品代(インフルエンザの予防接種やビタミン剤は対象外)
×疲れを癒すためのマッサージ代
×自己都合の差額ベッド代
×自家用車で通院する場合のガソリン代、駐車場代
×近視や乱視のためのメガネ代やコンタクトレンズ代
※国税庁「医療費控除の対象となる医療費」より一部抜粋

所得金額にもよりますが、基本的には一年間に医療費を10万円以上支払った場合は、医療費控除が適用できる場合があると覚えておきましょう。

また確定申告の際には、医療費の領収書をもとに医療費控除の明細書を作成する必要があります。明細書記載の内容を確認するため、税務署から領収書の提示や提出を求められる場合がありますので、確定申告期限の翌日から5年を過ぎるまでは大切に保管しておきましょう。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは、健康の維持増進および疾病の予防を目的とした一定の取組みを行う個人が、平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に、本人または生計を一にする配偶者その他親族にかかる一定のスイッチOTC医薬品の購入費を支払った場合、一定の金額を所得から控除できる制度です。

セルフメディケーション税制で控除できる金額は、次の式で計算した金額で最大8.8万円までとなります。

◇ セルフメディケーション税制の計算式
1年間に実際に支払ったOTC医薬品の購入費用 ― 保険などで補填される金額 ― 12,000円 = 控除できる金額

簡単に言うと、セルフメディケーション税制の対象マークがついた医薬品を一年間に12,000円以上購入した場合に、確定申告をすることで税金の還付を受けることができます。

また適用を受ける際には「健康維持増進等のために、予防接種や健康診断、がん検診等の取組みをしていること」などといった条件もありますので併せて確認しておきましょう。

最後に

今回は、所得控除の一つである「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」についてお話ししました。

この二つの制度に関しては併用することができず、どちらか控除額の大きい方を選んで申告することになります。
どちらがお得かはご自身の所得金額や実際に支払った医療費等によって変わってきますので、事前に減税額のシミュレーションをすることをおすすめします。

また冒頭に述べたように、普段は源泉徴収のみのサラリーマンの人でも、これらの制度を適用するためには確定申告が必要です。その時になって慌てないためにも、日頃から領収書やレシートの管理、制度の概要や必要書類について確認しておきましょう。その際併せて、本記事もご参考頂ければ幸いです。

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