節税

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今さら聞けない!?相続対策にタワーマンションって、どういうこと!?

今さら聞けない!?相続対策にタワーマンションって、どういうこと!?

今さら聞けない!?相続対策にタワーマンションって、どういうこと!?

皆さんは、不動産購入、とりわけタワーマンション購入が相続税の節税になる、という噂を聞いたことがありますか?

そもそも、不動産の活用による相続税対策は昔から鉄板と言われた節税スキームで、小規模宅地の特例や貸家建付地の活用などと合わせて、以前より資産家の間では有名でした。

しかし近年、使い方によってはそれらと同じかそれ以上の効果が期待できる、タワーマンションによる相続税の節税スキームが一気に有名となり、資産家や相続に関心のある層だけでなく、一般メディアなどでも話題となったようです。(タワーマンションと小規模宅地の特例や貸家建付地の併用も、条件次第では狙うことができます)

本稿では、そんなタワーマンションを活用した相続税の節税スキームとはどんなものなのかについて、スキーム活用時の注意点と合わせてご説明していきます。

 

■不動産と相続税節税の関係のおさらい

まずは、そもそもなぜ不動産の活用が相続税の節税に繋がるのか、そのカラクリを簡単にご説明しておきましょう。(話をシンプルにするため、相続順位や各種控除などは考えずにご説明します)

相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を基準に計算しますが、不動産など時価が不明確な財産については、なんらかの基準で相続時点での価値を算定しなければなりません。(現金や株式などは、原則として時価を用いて計算します)

この相続時の価値を相続税評価額と呼ぶのですが、相続税評価額が高いほど税額も高く、評価額が低いほど税額も低くなる仕組みです。

これを逆手にとった相続税の節税が、不動産を活用した相続なのです。


たとえば、1億円を現金のまま相続すると、相続税評価額はそのまま1億円です。

しかし、もし生前に1億円の土地を購入して、現金ではなく土地として相続するとどうなるでしょうか。

以前、こちらの記事で土地の価格は「一物五価」で、相続税評価額は公示価格(土地売買の相場価格)の約8割となることをご説明しました。

 

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<参考>
「1つの土地に5つの価格」って、どういうこと!?
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つまり、公示価格が1億円相当の土地であれば、相続税評価額はその約8割の8,000万円程度に下がるということになります。(実際の計算は、路線価等を用いてもっと精緻に計算されます。あくまでもイメージとしてご理解ください)


さらに、相続する不動産が家屋(建物)になると、より大きな節税効果が生じます。

家屋の相続税評価額は、原則として再建築価格を基準とする固定資産税評価額を用いるのですが、この評価額は建築価格の50%~70%程度とされているためです。


このように、不動産の「時価と相続税評価額の差分」によって、相続税が節税できるというカラクリとなっています。

 

■なぜ、タワーマンションを利用した節税効果

では、なぜ不動産のなかでも、タワーマンションが相続税の節税に有効とされるのでしょうか?

前述のとおり、不動産の「時価と相続税評価額の差分」が節税の元になるわけですが、その点、タワーマンションは、都心部や駅近などの一等地にあり人気も高いことから、一般に時価は高い傾向を示します。

その一方、タワーマンションでは土地も家屋も、相続税評価額は低く算定されやすい条件が揃っているのです。

まず、土地について。

前提としてマンションの土地評価は、マンション敷地のうち、区分所有分の持分割合で按分した面積だけが対象です。

縦に長く、限られた敷地に多くの部屋を抱えるタワーマンションでは、土地面積を按分する他の区分所有者が多く存在するため、結果としてタワーマンションでは土地の持ち分は小さくなり、相続税評価額は低くなるのです。

また、家屋についても相続税対策に有利な面があります。

家屋の評価は、再建築価格を基準とした固定資産税評価額が基準となりますが、タワーマンションの場合、再建築価格云々よりも、高層階や眺望といった、相続税評価額には関係しない要素によって時価が上下する傾向が顕著です。

こうした事情から、タワーマンションは総じて土地の評価が低く、家屋についても高層階や眺望の良い部屋ほど、「時価と相続税評価額の差分」が広がりやすい傾向にあり、相続税対策として有効というわけです。

 

■タワーマンション節税活用における2つの注意点

最後に、タワーマンションを活用した相続税の節税の注意点を2つ、ご紹介します。

1つ目は、タワーマンション自体の資産価値です。

たとえば1億円でタワーマンションを購入することで2,000万円の節税になったとしても、売却時に7,000万円となってしまっては収支がマイナスとなってしまいますね。

あくまでも購入したタワーマンションの価値が維持または上昇することを前提とした節税手法であることには十分注意が必要です。


2つ目は、税務指摘リスクです。

この節税スキームがあまりに有名となったことで、国税庁がチェックを強めているとされており、実際に税務調査で追徴課税を受けたケースも発生しています。

また、平成29年度の税制改正では、上層階ほど固定資産税・都市計画税・不動産取得税を高くする措置が取られました。

相続税対策への直接的な影響はないものの、相続直前にタワーマンションを購入し、直後に売却するなどのあからさまな節税対策への警告と捉える声も一部で挙がっています。

相続税の節税は、国税庁と納税者の“いたちごっこ”とも言われています。

事前にこうした節税の知識を学ぶことはとても重要ですが、いざ実行に移す段階では、相続や不動産に強い税理士に相談しながら進めた方がよいでしょう。
 

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