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20年先の税金の未来に関して 連載⑥若者とお年寄りで起こる『世代間格差』

20年先の税金の未来に関して 連載⑥若者とお年寄りで起こる『世代間格差』

20年先の税金の未来に関して 連載⑥若者とお年寄りで起こる『世代間格差』

20年先の税金の未来に関してさまざまな視点を交えて推測を行っていく本連載。

さて、今回は第1回から続いてきたシリーズの最終回です。

今回は前回までの話を手がかりにしながら、世代間格差が20年後にどうなっているのか推測してみたいと思います。

 

世代間格差とは

まず、「世代間格差」という言葉について確認をします。

世代間格差とは、生きている間に受ける年金、福祉などのサービスや、それに対する保険料の負担が世代によって異なることから生じる格差のことです。

いまの公的年金制度は、大勢の現役世代が少数の高齢世代を支えるという前提でつくられた制度で実際に1950年ごろは12.5人の現役世代が1人の高齢者を支える社会の中で運用されていました。

しかし、これまでの連載で触れてきたとおり、今後も少子高齢化が進んでいくことが見込まれており、2040年ごろには1人の現役世代が1人の高齢者を支える状況になると推測されていることから、すでに制度運用の前提が崩れてきていることがわかります。

公的年金制度は現役世代が納める保険料を主な財源にしているため、少子高齢化で若い世代の人口が減っていくと、いまの給付水準を維持し続けることが難しくなっていきます。

そうすると年金などの社会保障給付は高齢者に偏る一方で、若い世代の負担は重くなっていくことになりますので、世代間での不公平感が増していくという状況になり、この格差の是正が現在の日本の問題となっています。

 

世代間格差の解消は不可能なのか?

世代間格差は少子高齢化という逃れられない状況の中で発生していきますので、簡単に解決することができない問題であると感じている方も多いのではないでしょうか。

しかし、世界には世代間格差の解消に成功した国があります。

スウェーデンは1990年代に日本と同じく社会保障負担が世代間で均衡しておらず、それがますます拡大している状況でした。

事態を重く考えたスウェーデン政府は年金改革に取り組み、それが功を奏して取り組みから約5年のうちに世代間格差が解消されていきました。

さらに、これにより若い世代の将来不安が払拭されるなど心理的効果があり、出生率の向上にも繋がっています。

スウェーデンとは対照的に、世代間の社会保障負担不均衡を放置し続け、世界的にもハイペースに少子高齢化が進んでいる日本ですが、スウェーデンの経験から問題緩和となるための方策の参考にできるものがあるかもしれません。

 

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世代間格差の背景は少子高齢化だけではない

これまで少子高齢化を背景に世代間格差は広がっていくという内容でお伝えしてきましたが、実は社会保障負担や給付の水準を左右するのは少子高齢化だけではありません。

国の経済状況もこの問題に連動しており、世代間格差の大きい国ほど、一人当たりGDP成長率が低く抑えられる傾向にあります。

どういうことかというと、若い世代に負担が重くなると、個人消費のけん引役である若い世代の可処分所得を圧迫することになります。

そうすると、将来への不安が高まり消費を抑えるようになり、経済成長を阻害する要因となり得ます。

現在の日本は、経済はもはや成熟化しているといわれており、景気対策を行っても持続的な景気回復は見込まれにくくなっています。

また、少しカドが立つ話ですが、高齢者が多い社会よりも若い世代の多い社会の方が生産性は高いといえますし、人口が多いほどいろいろな才能にあふれていますので、現在の少子高齢化は集団としての力も生産性も減少していると見立てがつきます。

暗い話で終わってはいけないので、では、何が世代間格差を解消するために必要なのかを考えてみたいと思います。

 

世代間格差を解消するために

世代間格差を解消するため、日本の各政党が提言を行っています。

1.財政健全化重視路線
維新の会、みんなの党は財政を健全化することを目標に掲げ、持続可能な社会保障制度の構築、消費税等の増税を主張しています。

2.社会保障重視路線
共産党、社会党は社会保障の拡充と、その財源を富裕層と大企業へ負担してもらうような税制度を主張しています。財政健全化重視路線で出ている消費税等の増税には反対しています。

3.中間派
民主党、公明党、生活の党は中間派に位置しており、財政再建を目指しながら、並行して社会保障も充実していくことを目指しています。

いずれの政党も共通して、人々の生活を守るという前提のもと、高齢者も若い世代もみんなで負担を分かち合うことを提言しています。

 

20年後の世代間格差はどうなっているか

これまでの過去5回の連載にて、20年後、2040年ごろの日本は少子高齢化が進み、医療費とは増加し続け、消費税は増税し、年金制度は縮小していくことが推測されてきました。

よって20年後は現状よりも状況が好転しているとはいえませんが、このままでは若い世代の負担は重くなる一方ですので、今回の世代間格差の是正を含めた持続可能な社会保障を実現するための財政改革が求められていくと考えられます。

 

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