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管理会社の「平均入居率」は信用できる?家賃上昇局面で見落とされがちな“数字の罠”とは!?

管理会社の「平均入居率」は信用できる?家賃上昇局面で見落とされがちな“数字の罠”とは!?

管理会社の「平均入居率」は信用できる?家賃上昇局面で見落とされがちな“数字の罠”とは!?

2026年度の春の繁忙期もひとまず終わり、不動産賃貸市場はこれから夏にかけて徐々に閑散期へ移っていきます。

今年の繁忙期の特徴を一言で表現すれば、やはり「家賃の上昇」でしょう。新規募集時の家賃引き上げはもちろん、更新時の値上げ打診もすでに珍しい話ではなくなっています。複数の業界新聞・業界団体の調査でもこの点は強調されていましたし、著者自身の所有する賃貸物件でも同様の傾向が顕著でした。

 

こうした市場環境下では、賃貸管理会社のリーシング力に対する評価基準についても改める必要があります。

多くの管理会社のホームページやカタログには、自社管理物件に関して「平均入居率〇%」という数字が大々的にアピールされていますが、今後はこの数字の評価に関して、より慎重な見方をする必要性が強まるかもしれません。

 

本稿では、管理会社が公表する「平均入居率」という数字の見方を改めて整理したうえで、家賃上昇局面のいま、本当に重視すべき管理会社の提案力とは何かを考えてみます。

 

■「平均入居率」は便利な数字だが、そのまま信じるのは危うい

 

まず前提として、「平均入居率」は一見わかりやすい数字ですが、もともとそのまま比較しやすい指標ではありませんでした。

「入居率」の定義に業界統一基準があるわけではなく、「退去日前の募集期間・工事期間を空室扱いとするのか」「申込日と引渡日のどちらを入居時点とするのか」など、管理会社ごとに計算方法が異なるため、同じ「平均入居率95%」であったとしても、実態が大きく異なることも珍しくなかったのです。

 

そして、今のように賃料相場が上昇している局面では、なおさら「平均入居率」という数字だけでは管理の良し悪しを判断しにくくなります。なぜなら、家賃を据え置く、あるいは値上げ幅を抑えて募集すれば埋まりやすいのは当然であり、それだけでは管理会社のリーシング力は測れないからです。

従来は、賃料相場が経年とともに緩やかに下がる、あるいは横ばい程度にとどまるケースが多く、良くも悪くも、大家・投資家にとって相場変動は比較的読みやすいものでした。しかし、いまの上昇傾向の家賃相場を知らないまま、従来と同じ感覚での募集にOKしてしまうと、早く空室が埋まったとしても、取れたはずの家賃を取り漏らすケースが増えていく懸念があるというわけです。

 

■今年のトレンドは“満室”より“どの家賃で決まったか”だった

 

今年の繁忙期を振り返ると、管理会社の評価軸は従来以上に変わってきていると感じます。

これまでは、空室が長引かないこと自体に大きな価値がありましたし、「どれだけ早く決めるか」が管理会社のリーシング力として語られがちでした。もちろん、その視点が今も無意味になったわけではありません。

ただ、家賃相場が上がる局面では、「埋まったかどうか」以上に、「どの家賃で決まったか」が収益に大きく影響します。

 

特に問題なのは、平均入居率を守るために、必要以上にADを積んだり、旧来の相場観のまま低めの家賃設定で早期成約を優先したりするやり方です。もちろん、空室期間を短くするために一定の調整が必要な場面はあります。

ただ、相場が上がっているにもかかわらず、「とにかく早く決める」ことだけを優先してしまえば、本来取れたはずの賃料を逃す可能性があります。

 

つまり、平均入居率が高いこと自体は悪くありませんが、その数字が「適正家賃で決まった結果」なのか、「ADを積む、賃料を抑えるなどして埋めた結果」なのかで意味はまったく違ってきます。

これからの管理会社選びでは、平均入居率の高さより、「この繁忙期にどの家賃水準で決めてきたのか」「相場上昇をどう募集条件に反映してきたのか」を確認する方が、はるかに実務的だといえるでしょう。

 

■設備仕様の向上アピールも、立地次第では再考の余地がある

 

もう一つ、今の市場で見直しが必要なのが、設備仕様の向上を前提とした募集戦略です。

従来は、室内設備や仕様を少しずつ良くして家賃アップにつなげるという考え方が、一定の有効性を持っていました。実際、競争が激しいエリアや、似たような物件が並ぶエリアでは、設備差別化が効く場面も少なくありませんでした。

 

しかし、家賃そのものが全体に底上げされ、物価全体も高騰し、入居者の実質賃金が十分に伸びていない環境では、常にその発想が正解とは限りません。

立地によっては、設備を盛ってさらに家賃を上げるよりも、設備仕様の改善は必要最小限にとどめ、家賃もほどほどに抑えることで「割安感」を出した方が決まりやすいケースもあるはずです。

 

要するに、今後は「設備追加で家賃アップ」という一本調子の提案だけでなく、「あえて過剰投資を避ける」「入居者の負担感を踏まえて賃料とのバランスを取る」といった提案も、立地によっては十分に合理的な選択肢になってきます。

このあたりを機械的に処理するのではなく、市場環境の変化を踏まえて柔軟に考えられるかどうかが、管理会社や担当者の提案力の差として表れやすくなるでしょう。

 

いかがでしょうか。

「平均入居率」は、管理会社のリーシング力を測る一つの目安には違いありません。

しかし、家賃上昇が本格化した今の市場では、「募集賃料やADの妥当性」や「市場環境の変化に応じた柔軟性」の重要性が一段上がっていることも、同時に理解しておくべきといえます。

物価高騰の波、そして家賃相場の上昇トレンドは、大家・投資家と賃貸管理会社の関係性にも、今後影響を大きくしてくるのかもしれません。

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